ドイツ、全国水対話分散会で有害物質対策や水道インフラ整備等を幅広く論議

ドイツ連邦環境省が2019年3月27~28日、水道事業の実務家を招いて全国水対話の第1回分散会を開催した。全国水対話のテーマは今のところ次の4つである。テーマごとに約40人の専門家を呼んで、次の日程(カッコ内は年内の開催日程)で分散会を開催し、議論を行う。対話プロセスでは、これらのテーマを互いに連結させ相乗効果をねらう。2019年12月に、これらテーマを総括した中間ワークショップを開催する。

(1)水道インフラのネットワーク化(3月28日、5月22日、9月26日、12月10日)
(2)リスク要因としての有害物質(同上)
(3)農業と消費者保護(3月27日、5月21日、9月25日、12月10日)
(4)自然再生と自然保護(同上)

全国水対話は、環境省が2021年に発行予定の「ドイツのための水戦略」の策定に寄与することとされている。この水戦略は、ドイツの政治行政に対し、水道供給や河川保全などあらゆる水関連領域で措置を講じるためのガイドラインとなる。全国水対話で論議されているのは、たとえば「汚染者負担の原則」や「生産者責任」を厳格化する措置である。今後、国民は市民参加を通じて、全国水対話の成果を議論し、評価し、独自の提案を行うことになる。全国水対話は、次の3つのフェーズからなる(現在は「深堀フェーズ」)。

着手フェーズ 第1回全国水対話(2018年10月実施)を通じて、将来の中心テーマを選定し、評価し、議論し、優先順位を付ける。
深堀フェーズ 全国水対話で選定した今後のテーマを深堀りする。2018年12月から2019年12月までに、水対話のテーマを5つに絞り込む。
成果フェーズ 取り組みのオプションと解決策の戦略を導き出す。2020年秋に、第2回全国水対話を 実施し、結論を出す

ドイツの水事業は、気候変動の結果、新たな課題に直面している。市町村では、豪雨や鉄砲水から住民を保護するための新たなシステムが必要となっている。堤防も補強し拡張しなければならない。また、老朽化した上下水道インフラを大々的に改修し、新たなニーズに応える必要がある。しかも、多くの河川流域の生態系の状態は、依然として不満足な状態にある。それゆえ、ドイツ環境省は2018年10月、広範な国民参加のもと、これら課題の解決策を模索するとともに、包括的な国家水戦略を策定するため、全国水対話を開始した。