インドネシア、地下水の取水によってジャカルタでの地盤沈下が進行――今後は地下水の取水停止を予定

インドネシアの現地紙が2019年3月25日に報じたところによると、同国の公共事業・国民住宅省(PUPR)は、地盤沈下を回避することを目的として、ジャカルタでの地下水の使用を停止し、地表水に切り替えていく予定であるという。ジャカルタの水源は現在、 PJT 2 Jatiluhur社が管理する水源から毎秒16m3の取水を行っている。公共事業・国民住宅省はさらに、ジャカルタの浄水として処理可能な毎秒10~15m3の水資源を開発予定だ。「現在、地下水の使用により地盤沈下が起きている。今後、JatiluhurやKarianからの供給が増えれば、地下水からの供給を停止する予定だ」と、公共事業・国民住宅省のBasuki Hadimuljono大臣は語った。

バンドン工科大学の測地研究チーム(Heri Andreas氏)の研究によると、ジャカルタの様々な地域ですでに地盤沈下が起こっているという。北部ジャカルタが最も深刻で、毎年25 cmの沈下が起こっている。その他の地域では、西ジャカルタで毎年15 cm、東ジャカルタで毎年10 cm、さらに中央ジャカルタで毎年2 cm、南ジャカルタで毎年1 cmとなっている。このまま地盤沈下が続けば、2050年に北ジャカルタが沈没する可能性があると当局は予測している。地盤沈下の原因は必要以上の地下水の取水であり、それを止めるための解決方法が求められている。

地下水からの取水を止めるためにも、代替となる水資源の開発が急がれており、インドネシア当局は2020年の完了を目指してKarian飲料水供給システムを開発中である。ジャカルタ・タンゲラン地区およびその周辺で毎秒4.5m3を利用する予定で、ジャカルタおよびその周辺の浄水源となるには十分な量であるという。「この地下水の停止は効果的である、なぜなら、タイのバンコクでは既に地下水の使用を止めており、ベストプラクティスと言えるからだ。もし停止が可能なら、まずは地盤沈下が起こっているジャカルタの中心部の北側全域で実施する」

上述のKarian飲料水供給システムは、Lebak県にあるKarianダムからの水供給に依存する。2018年12月時点で、ダム工事の進捗は55%に達しており、2020年の完成を目指している。Karianダムから取水した水は、全長47.9 kmの配管網を流れることになる。この水供給によってタンゲランおよびジャカルタ特別区の水需要を満たし、地下水の使用を削減できるものと期待されている。