米議会に多数のPFAS汚染対策法案

米国で、ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物(PFAS類)による地下水と地表水の汚染が深刻な問題となっており、これが各地の水道事業者の頭痛の種になっている。こうした事情を反映して、議会には現在、この問題に対処するための多くの法案が提出されている。本稿では、これら法案をめぐる議会の動きの概要をお伝えする。

下院の13法案と上院の数法案

PFAS類の問題に対処するための法案が下院には13本提出されており、これらはエネルギー・商業委員会で審議されることになる。このため、下院では2019年5月15日に、これら法案の扱いを協議するための会合がひらかれた。

下院に提出されている13法案は、大きく次の3つの種類に分けることができる。

  • 環境と人体におけるPFAS類のモニタリングに資するべく、PFAS類を有害物質排出インベントリー(TRI)の報告対象物質に加える法案
  • PFAS類をまとめて禁止する法案
  • PFAS類による汚染の浄化のための法案

同様に、上院にもいくつかの法案が上程されており、このなかには、環境保護庁(EPA)がすでに発表している「PFAS行動計画」よりも厳しい内容の、PFAS類に属するすべての物質を制限するというものもある。

短鎖PFAS類の問題

炭素数が8未満の短鎖PFAS類は、毒性や生物蓄積性が他のPFAS類よりも少ないとEPAはみており、そのため、化学品メーカーらは短鎖PFAS類をペルフルオロオクタン酸(PFOA)やペルフルオロオクタンスルホン酸塩(PFOS)の代替物質として販売しはじめている。

しかし、短鎖PFAS類の毒性や生物蓄積性についてはまだ研究がじゅうぶんとはいえず、連邦議会の議員らも今後この問題に注目していくことが予想される。