インド、過去3年間で工業セクターの水使用量が増加 – さらなる増加は必至、節水対策は急務

2014年12月28日に現地で報じられたところによると、インド環境森林省が最近発表した統計資料から、国内の各州において企業から徴収された水税の総額が、過去3年間で合計約4億ルピー(約7億5500万円)増加したことがわかった。中央政府に収めた水税の額で上位5位を占めた州は次のとおりである:ウッタルプラデシュ州、統一アーンドラ・プラデーシュ(AP)州(AP州+テランガーナ州)、マハーラーシュトラ州、クジャラート州、およびパンジャーブ州。

モディ政権が掲げる「Make in India」政策の下、
工業セクターの水需要の増加は必至

1977年に制定された“水質汚染(防止および管理)税法(Water (Prevention and Control of Pollution) Cess Act, 1977”は、州の公害委員会に対し、企業および地方自治体の機関が使用した水の量に基づいて水税を収集するよう義務づけている。この水税は、インドの汚染を低減する措置のために使用されている。現在、1日の水の消費量が10キロリットル未満の企業を除くすべての企業に水税が課税されている(ただし、この適用除外は有害廃棄物を排出する企業には適用されない)。公表された数字によれば、すべての州および連邦直轄地域で徴収された水税の額は合計で以下のとおりである。

  • 2011~12年度 22億180万ルピー(約41億9000万円)
  • 2012~13年度 22億619万ルピー(約42億7000万円)
  • 2013~14年度 26億173万ルピー(約49億4100万円)

水税として徴収される額は決して大きなものではないものの、その増加傾向はインドの企業が使用する水の量が徐々に増加していることを示唆している。中央政府が掲げる「Make in India(インドでものづくりを)」との目標の下で、製造業企業の水使用が増えることは必至であり、インドの国民一人当たりが利用可能な水の量はここ何年も減少していることに鑑みれば、水の節約がますます重要な課題となってくる。現在、インドの工業セクターは国内で利用可能な水の合計量のうち約6%を利用しており、他方で70%の水を農業セクターが利用している(灌漑利用)。インド商工会議所連合会(FICCI)が2011年に実施した調査では、工業セクターの水需要は利用可能な水のうち、2025年に8.5%、2050年に10.1%を占めるとの予測が示されている。

大きな人口を抱える一方、乏しい水資源

同国の多くの地域はすでに水不足に直面し始めている。インドは世界の人口の18%を抱えているが、水資源をみると世界の4%を有しているにすぎない。このことにより、インドは節水のための効果的な方策を執る必要に迫られている。国民1人あたりが1年間に使用できる水の量は1947年の6042m3から2011年に1545m3にまで低減している。水資源省の試算によれば、国民一人当たりが1年間に利用できる水の量はさらに減り、2025年まで1340 m3に、そして2050年までに1140 m3 になるという。さらに、インドの年間の必要水量は2050年までに1兆1800億m3になると予測されている。一方で、現時点で1年間に「利用可能な」水の量(地表水+地下水)は潜在的には1兆1230億m3 にとどまっている。