Suez、下水道システムのインテリジェント管理ソリューションの提供を開始

仏Suez社は2016年7月11日、自治体向けの下水道システムのインテリジェント管理ソリューション“AQUADVANCED® Assainissement”の提供を開始したことを発表した。都市化の拡大と都市環境における地表面の防水加工率の増大に伴い、雨水の土壌への自然な浸透率は15%にまで低減されている。残りの85%は、屋根や舗道の上に存在していた燃料の残渣、重金属、プラスチック片等を運びながら河川等に流入する。これらの大量の汚水を下水道に集めて浄水施設で処理することは、深刻な洪水、人的・物的被害及び自然環境汚染のリスクを回避する上で、自治体にとって非常に重要な課題となっている。実際、都市部の河川及び海岸に放出される汚染物質の50%は雨水に由来するものである。

欧州では2000年10月23日のEU指令2000/60/EC(水枠組み指令)により、汚水の回収能力を保証し、自然環境への放出物の質を管理することが自治体に対して義務付けられている。フランスでは2015年7月21日の省令(アレテ)により、このEU指令が国内法化されている。

このような課題に対処するために開発されたAQUADVANCED® Assainissementは、環境(河川、海洋、下水道)のモニタリングから洪水及び自然環境汚染のリスクの予測、さらに下水道システム全体の予測的管理まで、自治体が最適解を選択することを可能にするものである。このインテリジェント管理ソリューションは、下水道システム及び河川等の受容環境に設置されたセンサーを介して収集されたデータならびに直近の気象予報に基づき、下水道システム全体の状態をリアルタイムで可視化して提供する。それらのデータを集中管理・解析することにより水理的挙動を予測することが可能になり、下水道システムにおける貯水容量の残存状況や処理すべき量あるいは自然環境における汚染や河川の氾濫のリスクを把握することができるようになる。また、条件が整った下水道システムについては、貯水池や揚水施設を遠隔から自動的に管理することも可能である。

このように、AQUADVANCED® Assainissementを利用することにより、未処理の汚水が自然環境に流入するリスクを予測し、放出物の質を定常的に管理し、環境を保護することが可能になる。たとえば、このインテリジェント管理ソリューションを採用した場合、河川や海洋に直接流入する雨水の量を現在の45%にまで削減することができる

AQUADVANCED® Assainissementは、2016年7月10日から同月14日にかけて開催されたシンガポール国際水週間(SIWW)でも紹介され、目下、シンガポール及び欧州の8つの大都市圏において展開されている。

タグ「」の記事:

2020年2月23日
米州水規制規制機関協会ADERASA、上下水法規に関する第12回イベロアメリカ・フォーラム開催
2020年2月1日
ブラジル・リオデジャネイロの上下水会社CEDAEの飲料水の水質問題で、民営化プロセスが困難になる可能性あり
2020年2月1日
ラ米ではPPPによる上下水部門への民間の参加が必要だが、法整備などの面で課題あり
2020年1月15日
RCAP、農村地域を対象とした医薬品の摂取過剰の解決と水質改善を目的としたパイロットプログラムを実施
2020年1月9日
下水に含有する薬剤の効果的な除去方法の特定――活性炭とオゾン処理を導入