南アフリカ都市部、水供給量の37%が漏水により損失

南アフリカのウェスタン・ケープ州政府は2017年3月2日、非営利団体GreenCapeが発行した報告書「Water: Market Intelligence Report 2017[1]」に基づき、同国の都市部では漏水により水供給量の37%を損失していることを明らかにした。南アフリカ全体での無収水(NRW)率の割合は下図の通りで、東部ほど高いことが分かる。


図 南アフリカの無収水率の分布図
(出典:Water: Market Intelligence Report 2017)

同報告書は、ウェスタン・ケープに本拠を構える非営利団体であり、グリーン経済への移行を支援するGreenCapeが発行した。ウェスタン・ケープ州政府経済機会局(Ministry of Economic Opportunities)を務めるAlan Winde局長によると、同報告書では水消費量の現状と水需要の予測動向が詳細に分析されているという。ウェスタン・コープは過去100年間に亘り深刻な干ばつに悩まされており、同地域における水事情への懸念が高まっている。同州に位置するケープタウン市当局は2月27日、同市では残り121日間分の水しか確保しておらず、過去初めて飲用水の利用が制限される3Bレベルが現在適用されている。

ウェスタン・ケープにて産業用に使用されている再生水市場は約6億ランド(約52億円)に匹敵し、今後の成長が予想されている。また、同地域における直接飲用水市場は45億ランド(約392億円)と見込まれている。GreenCapeの水セクター担当者Raymond Siebrits氏は、「GreenCapeでは、現行の水問題を、グリーン経済への移行に向けた機会として注目している。南アフリカの水供給サービスプロバイダや技術ベンダは、これらの市場ニーズを満たすことが可能である。どの分野・事業に注視すべきかを理解することが必要である」と述べた。ウェスト・ケープが現在直面している水問題は、一般家庭、企業、産業にとって、解決に向けた投資の機会であると、同氏は捉えている。

南アフリカでは約7割の水が灌漑に使用されており、それに続くのが都市部、鉱業などでの利用である。


図 南アフリカの水使用量のセクター別内訳
(出典:Water: Market Intelligence Report 2017)

[1] http://www.green-cape.co.za/assets/Uploads/GreenCape-Water-MIR-2017-electronic-FINAL-v1.pdf