中国2014年全国海水利用報告書 – 五、検査と基準

本稿は中国国家海洋局のWEBサイトにて2015年8月5日に公開された「2014年全国海水利用報告書」をEnviXが翻訳したものです。
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五、検査と基準

(一)検査・測定

2008年、国家I類製品品質検査機関である国家海水・汽水利用製品品質監督検査センターが設立された。2014年時点で、同センターによる検査が可能な製品や項目には、48の製品、389の検査項目やパラメーター、蒸留法を用いた海水淡水化設備や部品、逆浸透法を用いた海水淡水化設備や部品、海水冷却塔の材料、海水処理用の薬剤、海水化学資源を抽出した製品、海水や淡水水質の全分析などが含まれている。さらに、「中国膜工業協会液体分離膜製品検査測定センター」の協力機関として、中国膜工業協会が実施する膜製品の生産登録届出業務において製品の検査測定を担当している。

2014年、同センターは、中国疾病予防制御センターの環境・健康関連製品安全所が実施した「性能検証—生活飲用水中のクロロホルムおよび硝酸性窒素の検査測定」に参加し、満足のいく結果を提出した。また、国家海洋基準計測センターが実施した「2014海洋監視・検査・測定機関実験室の性能検証」にも参加し、「海水塩分量」、「海水中のリン酸塩」、「海水中の硝酸塩」など3項目の指標でいずれも申し分のない結果を出した。

さらに、2008年に設立された国家海洋計器設備製品品質監督検査センターは、平膜型の精密ろ過膜、中空糸型の限外・精密ろ過膜や構成部品プロジェクトの検査測定業務を担当している。1991年に立ち上げられた国家液体分離膜工程技術研究センターは、精密・限外・ナノろ過膜、電気透析、逆浸透膜やその構成部品の検査測定の実施が可能。

(二)基準・規範

2014年、全国海洋標準化技術委員会の海水淡水化・総合利用技術分科会の設立計画が国家標準化管理委員会事務局によって承認された(標委弁総合函[2014]14号)。同技術分科会は、主に海水淡水化・総合利用分野の標準化業務(化学、分離膜、製塩分野は含まない)を担当する。

国家標準化管理委員会など12の部や委員会は、『2014年戦略的新興産業複合基準指導目録』(標委弁工一聯[2014]116号)を共同で公布した。同目録には、「海水淡水化基準一式」と13の関連基準が盛り込まれている。主な基準は以下のとおり。(1)蒸留法を用いた海水淡水化プラントの設計規範、(2)蒸留法を用いた海水淡水化装置用のアルミニウム合金熱伝導管、(3)ロール状逆浸透膜エレメントの技術的要求事項、(4)逆浸透膜測定方法、(5)限外ろ過膜測定方法、(6)海水淡水化前処理膜の技術設計規範、(7)海水淡水化膜システムの評価方法、(8)液体除菌用微細孔膜の折り畳み型ろ過エレメント性能の検査測定方法、(9)ナノろ過膜測定方法、(10)逆浸透法におけるエネルギー回収装置の一般技術規範、(11)海水淡水化逆浸透装置の運行管理規範、(12)分離膜の外枠、(13)浸透気化膜の測定方法。

2014年末現在、全国で公布および実施された海水利用関連の基準は、国家基準(国家軍事規格を含む)20件、業界基準69件を含む89件で、そのうち2014年に新たに公布されたのは、国家基準4件、業界基準4件を含む8件である。主な基準には、GB/T 31327-2014『海水淡水化前処理膜システムの設計規範』、GB/T 31328-2014『海水淡水化逆浸透システムの運行管理規範』、HY/T 176-2014『海水中の鉄細菌測定のMPN法』などが含まれる。

 

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