カーボン・ナノチューブが膜と競合へ――インドの研究チーム

インドのムンバイにあるBhabha原子力研究センターのKar、R.C. Bindal、S. Prabhakar、P.K. Tewari、K. Dasgupta、およびD. Sathiyamoorthyの研究チームは、新しい浄水技術がたえず研究されてはいるが、先進諸国でそれが実用化されるには設置、運転、および保守が比較的簡単でかつ低コストでなければならないことに着目し、カーボン・ナノチューブの応用を試みている。

カーボン・ナノチューブというのは、太さが人間の髪の毛の10億分の1にも満たない中空のカーボン・ファイバーで、水分子などのきわめて小さな分子のみを内部に通し、ウイルス、細菌、有害金属イオン、有害有機化合物分子などは内部に入り込ませないというユニークな性質をもっている。

研究チームは、カーボン・ナノチューブの内壁は滑らかでかつ撥水性があるので、これをフィルターに使えば濾過効率がきわめてよくなり、大流量の水を目詰まりなしに濾過することができると述べている。重要なのは、カーボン・ナノチューブを使ったフィルターの場合、水を通すのに必要なエネルギーが従来の膜技術とくらべて少なくてすむことである。

しかし、これが汚染物質を含む水の効率的な濾過にじっさいに役立つためには、カーボン・ナノチューブというナノスケールの構造物を再現性よくつくる技術が必要である。研究チームは現在、カーボン・ナノチューブを使ってヒ素、フッ化物、重金属、および有害有機化合物を除去できる濾過システムの可能性を追求している。カーボン・ナノチューブは浄水目的での使用にきわめて適していると、この研究チームのメンバーらはいっている。

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