インドの家庭用浄水器市場、大きな成長の可能性

150億ルピー(約300億円)を超える規模をもつといわれ、現在も成長をつづけているインドの家庭用浄水器市場に、新たな企業がつぎつぎに参入し、この魅力的な市場の一部に食い込もうと、在来企業との競合をはじめている。インドでは、環境基準を守ろうという意識がまだ希薄な上、財政難に悩む自治体に水道水の浄化を効果的におこなう能力がないため、国民は依然として汚染された水の脅威にさらされている。さらに、人為的な汚染に加えて、自然に流れてくる過程で塩分や金属が溶け込んでいるという問題もあり、これらが、ポイント・オヴ・ユース(POU)浄水システムを消費者が購入する大きな動機になっている。

 

このほどFrost & Sullivanが発表した報告書、Strategic Analysis of the Indian Residential Water Treatment Systems Market(インドの家庭用浄水器市場の戦略的分析)は、この市場が2007年の総売上164億8600万ルピー(約328億3100万円)にまで成長したとし、これが2012年には412億250万ルピー(約820億1050万円)に達すると予測している。

 

このインドの家庭用浄水器市場について、Frost & Sullivanのインダストリー・アナリストSasidhar Chidanamarriはこう述べている。「インド人は健康や衛生に以前より敏感になっており、水をただ沸騰させただけでは、そこに溶け込んでいる健康によくない塩分や金属を取り除くには不十分だということを認識するようになってきている。以前は市場の主流を占めていた紫外線(UV)ベースのシステムが、いまでは、急成長をつづける逆浸透(RO)ベースのシステムに取って代わられつつある」

細菌や溶解汚染物質を除去することができ、浄水能力では従来のセラミック/キャンドル/ドリップ・フィルターとくらべて遜色のないPOUカウンター・トップ型システムが、市場で一歩リードしている。その結果、この市場は新規参入業者にとって魅力あるものになっている。従来のキャンドル・フィルターの市場はすでにUVベースのシステムに敗北しており、現在では、新しいROベースのシステムが、かろうじて生き残っているキャンドル・フィルターの市場を完全に消し去ると見られている。

 

いっぽう、市場の組織化された部分においても未組織の部分においても、タイムリーで効率のよいアフター・サービスの不足が指摘されている。特に、地域の市場に限定された小規模な業者のなかには、品質と信頼性に欠けるものもあるが、そうした業者の製品は価格が安い。消費者の苦情を効率的にさばくためには、アフター・サービスと社員研修にもっと力を入れる必要がある。

 

なお、Frost & SullivanのStrategic Analysis of the Indian Residential Water Treatment Systems Marketは、Environmental Growth Partnership Service(環境成長パートナーシップ・サービス)プログラムの一環として発表されたもので、このプログラムにはこのほか、廃棄物処理サービス、浄水機器と廃水処理機器、および大気汚染防止装置の市場に関する調査も含まれている。