ビジネスリーダーらはトルコのイスタンブールで開催された世界水フォーラムで2009年3月19日に発表された報告書に、新しい世界的な気候変動条約に関して現在行なわれている国際的な交渉では、水危機問題についても取り上げるべきであると記した。
この報告書Water, Energy and Climate Change: A contribution from the business community(水、エネルギーおよび気候変動:経済界からの寄与)は、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)が作成したものである。
同会議のBjorn Stigson議長は、「気候変動は、水資源とエネルギー資源の両方の使用と利用可能性に影響を与えるというのに、この3つの問題すべてに同時に対処するという考え方はまだ広く浸透してきていない。われわれは、気候変動に対するソリューションを見出すという希望を本当に持てるようにするには新しい気候変動条約のための交渉でこれら3者を結びつけなければならない」と述べた。
この報告書には、次の5つの政策立案者のための提言が盛り込まれている。
- 信頼性のある気候変動のリスクに関するデータ、モデルおよび解析ツールを提供する。
- 計測ツールと政策に水とエネルギーの効率を組み入れる。
- 水問題を主流にし、水関係の当局や機関に、一般的な運営実務、教育および意識改革に関する業務ができるよう訓練を受けた職員が確実にいるようにする。
- 生態系(が提供する)サービス(たとえば、水や林産物などの自然が社会に提供しているメリット)を国境を越えて行なわれる意思決定に組み入れ、重視する。
- イノベーション、適切なソリューションおよび地域社会への関与を通じて最優良事例に習うことを勧める。
報告書にはまた、どのように企業がすでにその経営全体で水、エネルギーそして気候変動を結び付けているかについて示している25件のケーススタディも記載されている。
このフォーラムの閣僚級会議は3月20日の午後に始まった。欧州連合(EU)を代表してチェコのJan Dusik環境副大臣は、「水危機と水質の課題は、水セクターだけでは対処できない。エネルギー、金融、農業、工業などのほかのセクターをもっと密接に議論に関与させなければならない」と述べた。
今回の水フォーラムの環境大臣会議では、気候変動と現在行なわれているそれに関する世界的な交渉との関連で水問題が検討される。この会議では、各国政府が水関係問題に関してもっと前向きな政策を打ち出すよう求める決議が採択されるものと見られている。
なお、上記報告書は、以下のウェブサイトで見られる。
http://www.wbcsd.org/DocRoot/Dg6GYWJq7xuaLO0OwZOi/WaterEnergyandClimateChange.pdf
WBCSD Business SD News 2009.3.19:Link water, energy & climate in global talks, business urges:
http://www.wbcsd.org/Plugins/DocSearch/details.asp?DocTypeId=251&ObjectId=MzM3NTM