中国政府、水不足に対処するため水利用の効率化を計画――効果を疑問視する声も

中国水利部の陳雷(Chen Lei)部長は2009年2月14日、広西チュワン族自治区桂林で講演し、同国がGDP当たりの水消費量を2020年までに45%削減する計画を立てていることを明らかにした。このなかで陳部長は、「中国が水の使いすぎ、汚染、旱魃などによって深刻度を増しつつある水不足に直面しているいま、われわれは水資源を守るために厳しい方策を講じなければならない」と述べた。

ここで陳部長は、国内総生産1万人民元(約14万円)当たりの水の消費量を、向こう11年かけて現在の229立方メートルから125立方メートルに減らすという目標を明らかにしたが、それを達成する手段としては、現行の「水の割当、消費、および資源保護に関する法規」を強化するという以上のものは示さなかった。

 

これについて、中国の水問題に詳しい北京の環境ジャーナリストにして環境活動家の馮永鋒(Feng Yongfeng)は、「できるとは思わない」と批判している。馮は、水価格が引き上げられ各地域の水計画が実施されはするだろうが、「この問題の解決には、ひとつの政府部局だけではだめで、全体のシステムとして取り組む必要があり」、これが単なる数字合わせに終わらないことを願っている、と述べている。

いっぽう、1999年に出版されたChina’s Water Crisis(中国の水危機)の著者、馬軍(Ma Jun)は、陳水利部長の発言を正しい方向への一歩だと評している。「われわれは、水利用を劇的に効率化することによってのみ経済成長を支えることができる」と馬はいう。馬は陳水利部長の発言を、政府が水供給の管理から水需要の管理へ役割を転換することを示すものだと受け止めている。

 

陳水利部長の発言を伝えた新華社の報道によると、中国では年間400億立方メートルの水が不足しており、中国の都市のおよそ3分の2は多かれ少なかれ水不足に直面しているという。水利部では、水の供給量を2020年までに795億立方メートル増やしたいとしている。

これについて馬は、「これはきわめて野心的に聞こえるが、これこそ中国がしなければならないことだ」と述べている。馬は、陳水利部長が示した法規強化という方策のほかに、水価格の変更、新技術の採用、教育や住民参加による地域ぐるみの取り組みなどが必要だとしている。

また、これとは別の話として、北京市水務局が節水施策の一環として、北京第6環状道路の内側の地域の建設工事現場でリサイクル水の使用を義務づけることになるという報道がなされているが、それがいつから実施されるかはまだ明らかでない。