豪自治体、飲料水の供給にストームウォーターの採取を開始

自治体であるOrange City Councilは、飲料水の供給に雨水などの流出水、いわゆるストームウォーターを採取するというオーストラリア初のプロジェクトを、2009年3月から開始することになった。490万オーストラリアドル(約3億1800万円)のプロジェクトで、この自治体は年間平均およそ2200メガリットルの水を採取でき、現在の水の使用レベルでは、ニューサウスウェールズ州の地方部にある自治体に、200日分以上の水を供給することに相当する。

 

Orange CityのKidd市長によると、同自治体が知っている限り、ストームウォーターを大規模に利用するプロジェクトはほかにはなく、このプロジェクトによって、Orange Cityは本格的にストームウォーターを飲料用に取り入れる国内最初の自治体になるという。市内の主要な貯水池には流れないが、Orange Cityを流れる水路からストームウォーターが採取される。この自治体によると、平均的な年では約1万1000メガリットルの水が水路に流れるが、流量の多い年では2万5000メガリットルまで水路に流れるという。

 

Kidd市長は、水の採取を年間約2200メガリットルまでに制限することで自然のままの流れを維持し、生活を水に頼っている下流域の人々には悪影響は与えないと語る。また、このプロジェクトは、ストームウォーターが市の飲料用給水に加えられる前に、いくつもの浄化・処理設備を設けるため、オーストラリア飲料水ガイドラインにある飲料用水質に関する国家基準を満たすという。

 

この自治体は2008年に、175万オーストラリアドル(約1億1400万円)のプロジェクトをPenrithに拠点を置く企業、J K Williams Construction社に請け負わせている。ちなみに、このプロジェクトには、200メガリットルのダム建設および河川からストームウォーターを採取する場所に堰を造るという、主に2つの作業が含まれる。また、ストームウォーターの採取計画「Blackmans Swamp Creek Stormwater Harvesting Scheme」の資金のおよそ半分は、ニューサウスウェールズ州政府から支給されている。