タイ公害規制局は各自治体から排出される下水の汚染レベルを測定し、汚染源を特定するための一助にしようという計画を立てている。同局はまた、バンコク首都行政府に対し、チャオプラヤ川下流の水質汚染を緩和するためにあと3つの下水処理システムを新設するようつよく要請している。チャオプラヤ川下流域では、溶存酸素のレベルが1リットル当たり2ミリグラムしかない。
公害規制局のSupat Wangwongwatana局長は、日量310万立方メートル以上の下水を排出する自治体に99の汚染抑制プロジェクトがあり、そのうち6プロジェクトがバンコクで実施されていて、ほかに16プロジェクトが建設中であると述べた。これらプロジェクトのうち89プロジェクトが内務省公共事業・国土計画局の予算で各県の環境管理計画のもとで実施されており、その総額は1460億バーツ(約3770億円)にのぼる。
Supat公害規制局長によれば、原則として水質汚染の原因者がこうした費用を負担しなければならないことになっているが、地方政府には下水料金徴収の規則を制定する権限がまだないため、汚染原因者から料金を取り立てているのは現在7自治体にすぎない。その結果、多くのプロジェクトが資金不足で運営できなくなっている。汚染原因者から料金を徴収しているのは、チョンブリー県のMuang Saensuk、Muang Sriracha、およびMuang Pattaya、ラヨーン県のTambon Ban Phae、ソンクラー県のNakhon Hat Yai、プーケット県のKaron、それにサコンナコーン県のTambon Tha Raeである。節水とクリーン技術により下水を減らすために、公害規制局は関連法規を改正して地方政府が下水料金と廃棄物排出料を徴収できるようにする方針だ。
2008年10月、公害規制局は自治体の下水を河川に放出する前に処理すべき汚染源とする規則を公害規制委員会に提出した。この規則は2008年末までに発効することになっている。公害規制局はまた、5つの地方政府と協力して下水処理料金制度の案を策定し、この案を2008年10月27日に公害規制委員会に提出した。料金徴収の対象は一般家庭、政府機関、国営企業と事業体、それに企業となっている。
バンコクがなぜこれまで下水処理料金を徴収できなかったのかという質問に対し、Supat局長は、それはバンコク知事の方針にもとづくものだと答えている。2007年から2008年にかけて、チャオプラヤ川下流域の水質汚染が進み、溶存酸素が1リットル当たりわずか2ミリグラムにまでに低下したが、これを同4ミリグラムに倍増させるには、バンコクのThon Buri、Khlong Toei、およびBang Sueに下水処理施設を建設する必要があり、これと既存の処理施設とを合わせてはじめて、チャオプラヤ川にそそぐ日量200万立方メートル以上の下水の処理が可能になる。