中国における汚泥の処理処分の現状と産業化の方向―市場化はまだ初期段階

中国では、ますます大きな問題となっている汚泥の処分に関して、科学研究分野の取り組みが積極化し最近では、研究機関や一部企業が、乾燥技術、セメントキルンでの処分技術、FYDバイオ製剤など、多くの実用的技術を打ち出しており、いずれも有益な試みとなっている。市場の面では、企業が徐々にかかわりを持ちつつある。しかし、まだ有効で整備された技術標準体系と合理的政策メカニズムが形成されておらず、汚泥処分産業の市場化はまだ初期段階にある。

 

2009年の初に環境保護部と住宅・都市建設部が「都市汚水処理場汚泥処理処分技術政策(試行、意見徴取用原稿)及び「汚水処理場汚泥処理処分最適技術ガイド」を発表し、地方政府が汚泥処理処分設置計画と建設の責任主体であることが初めて明確に示され、費用の準備、技術路線などについても規定された。

この「技術政策」の主要起草者である王凱軍によれば、汚泥処理処分産業の発展を左右するのは、技術の進歩、技術路線など以外に、政策を出すことと具体化することであり、政府は責任を明確にした上で、関連の規範標準を整備し、市場をガイドし、費用の補助を

具体化しなければならないとのことである。

 

全国の20万トン/日以上の規模の汚水処理場の汚水処理能力の合計は2272.6万トン/日である。1万トンの汚水から7.5トン(含水率80%)の汚泥が発生するとすれば、汚泥は年間613.6万トン発生し、これは全国の年間汚泥総発生量の55%を占める。

2007年末の、処理能力20万トン/日以上の都市汚水処理場での汚泥処理状況の統計によれば、83%は妥当な処分を経ておらず、これら汚泥の行く先も一定の保障が無く、汚泥が制御されることなく排出されている状態を生み出している。

埋立はコストが低く、一方、焼却は後の心配が無い。一般的に言って、都市では、経済力があり、土地資源に限りがあり、汚泥発生量が多いため、焼却するのが良い。汚泥発生量が少なく、かつ分散している地方では、焼却以外の方法が経済的、実用的である。大都市では、汚泥発生量は非常に多く、単一の汚泥処分方法によると、早晩問題が発生するので、多くのルート、多くの技術を並行して奨励する必要がある。例えば上海では、一部は埋立にし、一部は焼却にし、一部は再利用するのが実際的である。

現在ある問題は、技術の不足やどの技術を選択するかではなく、地方政府がやるのかやらないのかの問題である。業界が最も必要としているのは、政府が自己の責任を明確にした上で関連の政策メカニズムを制定することである。

水処理費決定において、既に汚泥の処理処分費用も含まれているが、地方政府はそれを長い間、計算もせず徴収もしてこなかった。算入後の汚水処理費の増加は、おそらく0.1元(約1円)の単位であり、消費者の受け入れられる範囲内である。

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