VeoliaとNanoH2Oが提携――SWRO膜で

Veolia Water Solutions & Technologiesはこのほど、カリフォルニア州のRO膜メーカーNanoH2Oと、逆浸透法海水淡水化(SWRO)プラントのより高フラックスの運転を可能にする新たな膜製品の利用について5年間の技術提携契約を結んだ。この契約にもとづいてNanoH2Oは、8インチ径のナノコンポジットSWRO膜エレメントをVeolia Water Solutions & TechnologiesのSWROプロジェクト用に供給する。

VeoliaのFinn Nielsen取締役は当面の目標について、まず重点地域――地中海、中東、オーストラリアなど――における試験的な使用によって6ヵ月ないし12ヵ月間の動作データを得ることだと述べている。

Nielsen取締役はさらにこう語っている。「われわれはつねに、市場リーダーとしての立場を維持するために最新かつ最良の技術を求めており、NanoH2Oにはそれがじゅうぶんにあると考えている。フルスケールのプロジェクトに使う前に、まずは自然なやりかたとして、個々のトレインまたはもっと小さな単位での新製品への置き換えからはじめたい」

この新しい膜技術はもともとカリフォルニア大学ロサンゼルス校のEric Hoek教授が開発したもので、その商品化権をNanoH2Oが3年前に取得し、それ以来、同社の研究スタッフが試作とベンチ試験をくりかえし、カリフォルニア州ポートヒューニーメのSWROパイロット・ユニットで4インチ径の膜エレメントの実地試験を2年間つづけてきた。

NanoH2OのJeff Green CEOによると、この膜は――コーティングではなく――本物のコンポジット膜で、多孔性の無機親水性ナノ粒子がポリアミド膜フィルム中に埋め込まれているという。同CEOはさらにこう述べている。「われわれのナノコンポジット膜は、30 gfd(50 Lmh)以上のフラックスで動作しつつ99.7%以上の塩阻止率を実現できることが証明されている。使用方法にもよるが、この膜は造水能力を大幅に高めることができ、逆にいえば、エネルギー消費を大幅に減らすことができる」

VeoliaのNielsen取締役は、NanoH2Oの膜エレメントが既設のものと単に交換するだけで済む点を評価している。また、「なによりすばらしいのは、従来の膜エレメントと競合できる価格であることだ」と同取締役はいう。

NanoH2Oはいまちょうど、膜製造施設の建設を終えようとしているところである。膜エレメントの製造は2009年末までにはじまり、2010年の中ごろには実際のプラントでのテストがおこなわれることになっている。NanoH2Oは、2010年内には多くの中小規模の淡水化プラントへの供給が可能になり、年間数万個の生産態勢が整うだろうとしている。

ドバイでひらかれているIDA World Congress 2009で発表する予定のペーパーで、NanoH2OのBob Burk研究開発統括役員(CSO)は同社の膜技術の長所についてこう述べている。「われわれの膜を使ったSWROの造水コストが低いことは、膜性能と経済性のモデリングによって証明されているが、この低コスト性は、省エネの結果でもある。これは、より低い圧力での動作が可能なこと、言い換えれば、フラックスを増し、エネルギー回収率を高めつつ造水量の増加が可能であることによる」

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