米国の投資顧問会社Janney Montgomery Scott(JMS)社の金融アナリストはその2009年11月24日付けレポートの中で、米連邦政府が上下水道インフラに投入した景気刺激策の資金の大部分が水事業分野の企業に恩恵をもたらしたと感じられるのは2010年になってからだろうとの見通しを述べた。また、現在ニューヨークタイムス紙がシリーズで記事に取り上げているが、水質規制の取締りの欠如に関してメディアが最近調査を実施し問題点を指摘したことから、政治家や公衆の間で水インフラが抱える諸問題に関する意識が高まってきている、とも述べている。
さらにJMSのアナリストは、現在の景気低迷が収束した後には、地方自治体の上下水道市場の成長率は2~3年の間に回復し、それどころか、GDP伸び率の2~2.5倍という以前の高い成長率を再び示すだろうと予測している。具体的には、老朽化した水インフラ施設の改善面でやり残した膨大な作業を遂行してゆくためには年間の予算として300億~400億ドルが必要であり、景気刺激策程度の資金では地方の水インフラ整備に必要な資金をほとんど満たせないと指摘している。
米国では長いこと問題視されてきたのだが、上下水道サービス料金の上昇を含め、上下水道に関わるコストの増大に対する公衆および政治による支援を得ることが米国における水インフラ整備を進めてゆく上での鍵となる。従来、米国では水道料金が数十年にわたって安かったことなどからコストは安くてよいのだといった感覚が支配的だったという。
また、JMSは、水事業にかかる実際のコストを公衆に十分に理解してもらうことがカリフォルニア州での水インフラ整備を成功させる最初のステップだと指摘している。同州では最近水不足が続き、その結果水料金が相当上昇したが、それに対する公衆の激しい抵抗はそれほど見られなかったという背景などから、カリフォルニア州民は最終的には水の価値を理解するだろうとも述べている。