教授や専門家、ペットボトル入り飲料水産業について議論

4名のウィリアム・アンド・メアリー(William and Mary)大学のさまざまな専門分野の教授とコカ・コーラの代表者が集まって、ペットボトル入り飲料水産業が環境に与えるいくつかの影響とその被害を減らすのにどのような持続可能性に関するイニシアチブとこの状況についての教育が役立つかということについて議論した。

この集会は、「ウィリアム・アンド・メアリー持続可能性委員会(William and Mary Committee on Sustainability)」とこの大学の学生にかれらの生活のなかで持続可能性にかかわる変更を1つして、それを公式のフェイスブック(2004年にサービスが始まった全米の大学をつなぐソーシャルネットワーキングサービス、URL:http://www.facebook.com/)のウィリアム・アンド・メアリーのサイトに掲載するよう学生に勧めるDOT(Do One Thing、1つのことをしよう)運動の後援の下に行なわれた。

5人の講演の概要は、次の通り。

【Curtis Etherly氏、Coca-Cola Enterprisesの広報・コミュニケーション担当副社長】
(世界中で最大の瓶詰め・流通会社の1つとして、同社は最近、その製品の生産や流通の環境影響を大幅に削減するために、その人的・物的資源の大半を持続可能性に関するイニシアチブに注ぎ込んでいる。)
ペットボトル入り飲料水について、コカ・コーラでは、この飲料水を消費するのは、一般の人々がしてよい選択であるが、これには責任が伴うと考えている。ペットボトル入り飲料水に関係する持続可能性に関する取り組みのなかで、同社は現在、もっと軽いボトルを目指し、生産に使われている水を管理し、同社が発生させている全体的な二酸化炭素の放出を減らしている。
(コカ・コーラのもっとも大きな取り組みの1つは、新しい327台のハイブリッド・トラック部隊であり、これは、北米で最大である。)

【Jim Kaste氏、地質学の准教授】
ボトル入り飲料水産業については、水自体だけでなくボトルの生産にも使われている水を地中から取り出すことによって、川の流量の減少、土壌の乾燥などの多くの環境への悪影響をもたらしている。このような悪影響を減らすには、すでに十分に水が供給されている州に大量の水をトラックで運んでいるという慣行は、不必要なので、やめなければならない。

【Dennis Taylor氏、Virginal Institute of Marine Science(新鮮海洋科学研究所という意味か)の海洋科学の教授】
くずを大洋に投棄している方法が、生態系や人々の安全に大きな影響を及ぼしている。大洋にあるくずの5分の4は、陸地からきており、残りは外航船からきている。たとえば、クルーズ船は1日に3トンのくずを大洋に捨てている。
この問題は特に、テキサス州の大きさの2倍のくずの集積が大洋の真中で発見されたときに表面化した。プラスチック・ボトルは、太陽によるその分解は非常にゆっくり起こるので、特に問題である。くずが大洋に入ると、食物連鎖のなかで循環を始める。このような影響は、人間が摂取する魚の種類のなかにときどき現れる珍しい化学物質に見られるので、これは人間の安全の問題となる。
このような軽率に捨てられる廃棄物と闘う取り組みが行なわれているにもかかわらず、このような慣行の被害は、おさまる気配を見せない影響を及ぼしている。

【Tonya Boone氏、オペレーションズ・情報技術(IT)の準教授】
ボトル入り飲料水の歴史は、1930年代に機能的な目的から生まれ、便利な生活必需品やステータスシンボルとしての現状に至っている。過去10年間だけでも、ボトル入り飲料水の購入は、年間に50億本から300億本に増加した。
消費者は、購入しているものについて考える必要があるし、企業は、そのような有害な製品を流通させていることに付随する企業の社会的責任について考える必要がある。
米国の関係産業には、特に新機軸や持続可能性に近づく方法の変更という分野で、欧州連合(EU)や多くのアジアの国のレベルに到達するには、やることがたくさんある。

【Mark Valler氏、哲学の教授】
ボトル入り飲料水の消費が道徳的に正しいかどうかという質問に対する答えは、ノーである。それは、なんら主な利点のない便利さだけである。そのような価値を減ずるものには、生産時に油が使われ、環境に発がん性物質を導入し、いくつかのほかの環境問題を提起するという事実が含まれる。

講演は質疑応答で締めくくられた。ここでは、ボトル入り飲料水のリサイクルやその有害な影響についての一般市民の教育といった話題についての討論があった。

講演の後、DOTと持続可能性委員会の会員は、集会参加者にサービスで出されていた再利用できるボトル入り飲料水の再利用が環境に与えるプラスの効果を促進するように、このボトルを退出するときに持って帰るよう勧めた。