デンマーク環境省、水管理と自然保全の政策文書を発表――水域毎に水管理戦略を策定

デンマークのTroels Lund Poulsen環境大臣は2010年1月14日、水管理と自然保全の政策の詳細について述べた文書を発表した(以下にデンマーク語のプレスリリース)。
http://www.mim.dk/Nyheder/Pressemeddelelser/20100114_massivt_loeft_til_danmarks_natur.htm

 

この政策文書は、地方の田園区域の環境劣化を食い止めるとともに、水質改善を図ることがねらい。基本的に、次のような施策を講じる。

  1. 自然保全区域13万ヘクタールと天然林2万ヘクタールを国が指定する。
  2. 水塊に微生物や藻類が繁殖するのを防止する。

 

こうした新たな施策の予算の一部に、EUの補助金や国有地の売却益をあてる。EUの「Natura2000」保全計画および水枠組み指令(2000/60/EC)の定める目標に基づき施策を講じることになる。なお、「Natura2000」は特別自然保全区域を設定するように、また水枠組み指令は海洋と内陸水の双方の水質を改善するように、各々加盟国に求めている。いずれにせよ、新しい政策は、最終的に決定されしだい強制力をもつ。新しい措置を推進するため、必要であれば、環境法令を改正していく。施策の詳細は次のとおり。

  1. 新しい政策の大半は、全国98市町村が地方行動計画を策定して実施する。
  2. 地方の状態に関連した個別の計画は、湖沼や、稀少な鳥の繁殖地のような絶滅が危惧される生息環境に的を絞ったものとする。
  3. 100km2の新たな湿地帯を定める。天然林保全のため、補助金を活用する。
  4. 河川の土手や大半の湖の周辺に新たに10m幅の緩衝地帯を設け、化学肥料からのリンの流入を減らしていく。そのような地帯で農作を営む土地所有者には補償金を払う。
  5. デンマークに23ある公共水域を対象に、個々に水管理戦略を策定する。そこにたとえば、下水処理施設の改善策、水生野生生物を保護する新たな対策、2015年までに沿岸水の窒素レベルを1万9000トン、湖のリンレベルを210トン削減するとの公約を盛り込む。
  6. 公営下水道につながっていない約36万世帯の下水に由来する汚染を、最小限に留める措置を講じていく。

デンマーク地域環境計画庁の水専門家Robert Jensen氏は1月14日、同庁が新しい施策の実施を確実なものにする最終的な責任を負う、と語った。水関連施策の多くの実施期限は、2015年に設定されている。また、地方行動計画の適正な実施を確保するため、新たなモニタリング計画を整備する予定という。

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