EUの政策執行機関であるヨーロッパ委員会はこのほど、フランスのSuez Environment S.A.によるスペインのSociedad General de Aguas de Barcelona S.A.(Agbar)の全経営権取得を、EU合併規定に照らして承認した。Agbarの経営権はこれまで、Suez EnvironmentとCriteria Caixa Corp S.A.が共同で保有していた。それをSuez Environmentが100%保有することへの承認申請をうけて、これがヨーロッパ経済領域またはその一部における効果的な競争を大きく阻害するものではないとヨーロッパ委員会が結論づけたものである。
Suez Environmentは、上下水道サービスを世界規模で提供している企業グループの持ち株会社であり、スペイン市場においては、傘下のDegrémontおよびOndeoを通じて上下水道サービスを提供している。
Agbarはおもに、スペインおよびラテン・アメリカ諸国で上下水道サービスを提供している。
Suez EnvironmentによるAgbar経営権の100%取得は、スペインの自治体向けの浄水施設や下水処理施設の運転・保守市場に全般的な影響をもたらすかもしれない。しかし、ヨーロッパ委員会の検討の結果、各社の事業活動のあいだには過度な重複がないことがわかった。さらに、この買収によってもたらされる市場占有率の増加はそれほど大きいとはいえない。また、Suez EnvironmentはAgbarの経営権を、この買収の前からすでにCriteriaと共同で保有している。
委員会の調査ではまた、合併後の企業が、この市場で事業活動をおこなっている他のいくつかの企業との競争、およびSuez Environmentと同じ能力、資金力、または専門的知見をもつ国際企業との競争に、今後もじゅうぶんに晒されつづけるであろうことが確認できた。さらに、スペインの自治体向けの浄水施設や下水処理施設の運転・保守市場は、調達ルールにしたがい、多くの応札業者が参加して入札がしばしばおこなわれる入札市場である。
なお、今回のSuez EnvironmentによるAgbarの全経営権取得は、ヨーロッパ経済領域における規制上の承認を求めて2010年3月18日にヨーロッパ委員会に対して申請がなされたものである。この案件に関するさらなる情報については、以下のウェブ・ページを参照されたい。
http://ec.europa.eu/competition/elojade/isef/case_details.cfm?proc_code=2_M_5724