Global Industry Analysts, Inc（GIA）は、「水処理機器・補給品（Water Treatment Equipment and Supplies）」市場に関する総合的な世界規模の報告書の公開を発表する。水処理機器・補給品の世界市場は、増加する世界の人々が求める塩分を含まない飲料水への高まる需要に後押しされて、2015年までに382億ドル（約3兆2000億円）に達すると予測されている。慢性的な淡水の不足は、今後数年のうちに深刻になるものと思われる。このことが、世界の水処理市場の伸びを促進しそうである。さらに、工業化や都市化の傾向や農作業の増大は、淡水需要の増加の一因となり、したがって、水処理製品の需要増の一因となっている。
急増する世界の人口はまた、飲料水や淡水の需要の大幅な増加の一因となっており、このことが多様な水処理製品の需要増の一因となっている。食品需要の増加とその結果生じる農作業の増大はまた、飲料水の必要性を高めそうである。水の貯えが限られている地域では、塩水の淡水化や水の再利用といった淡水供給の代替源が勢いを得ている。消費者の間での汚染された水の有害な影響に関する認識の高まり、政府が実施する規制、そして法的責任に関するリスクもまた、水処理製品の需要を後押ししている。
世界的な不況は、2009年に著しい産業拡大活動の低下を招き、したがって、産業上の利用から出てくる需要に影響を及ぼした。工業用水処理は、水処理市場の主要な部門であるが、世界的不況をまともに受けて、いくつかの製造施設が閉鎖に追い込まれた。この部門の成長が、急速な産業化に重点的に取り組んでいる途上国からの需要の増加によって勢いを増すと見られている。
しかしながら、不況は、持続可能な水・廃水処理技術市場、特にごみ減量化、水の再利用とリサイクル、エネルギー効率、および資源回収の分野、で多くの機会を生み出している。不況によって大きな水・廃水プロジェクトのための資金供給源が枯渇しているなかで、より環境に配慮した代替手段を提供する持続可能な水・廃水処理の技術やサービスは、処理施設のカーボン・フットプリントを減らし、生態系の生息地を守り、より高い効率の処理を約束する能力によって、その需要が増している。
欧州、アジア太平洋、そして米国は、水処理機器・補給品に関する新しい市場調査報告書の述べているところによると、世界の売上高の70 %を超える市場占有率を誇って、水機器・補給品の世界市場を牛耳っている。水と廃水の処理、リサイクルおよびリユースの世界市場は、主として優れた水質の水の需要の高まりや環境への廃水の垂れ流しを制限する厳しい規則によって、この数年間かなり成長した。世界の水処理市場に影響を及ぼす主な要因は、規制環境である。ますます多くの国が、環境に優しい製品の採用を促進する、特に人が接触する製品に関して、厳しい政策や規則を導入している。その結果、専門の水処理製品の需要は、急速に変化する地球環境に必要なことを満たすために増している。アジアと中南米の経済、特に中国、インド、およびブラジルからの需要、が水処理機器・サービスの市場全体の成長を推進している。急速に成長している中東欧、そしてロシア、の経済もまた、成長傾向が増す一因となると見込まれている。
自治体の水処理機器市場は、恒常的に新しいインフラが追加されたり、既存のシステムの性能が高められたりするので、拡大している。市場は、給水の責任を民間企業に委託する傾向を目の当たりにした。さまざまな種類の自治体の水処理のなかでは、殺菌市場は、主に塩素が主役となっている。塩素処理は、主要な方法であるが、たとえば、紫外線、オゾン処理、膜ろ過といったほかの方法が、塩素処理のマーケット・シェアを大幅に奪うと見られている。自治体の水処理機器・補給品のアジア太平洋市場は、2013年までには42億ドル（約3500億円）に達する見込みである。
水処理機器市場は、高度に細分化されているという特徴があり、数社の大企業と数多くの地域の企業が参加している。この業界のほとんどの企業は、限られた数の処理技術、製品、そしてサービスしか提供しておらず、解決策のすべてをそろえているのは一握りの企業に過ぎない。この報告書で取り上げた主要企業は、Asahi Kasei Corporation（旭化成）、Aqua America Inc.、BRITA、BWT AG、Calgon Carbon Corp.、Culligan International、3M Purification Inc.、Dow Chemical Company、GE Water & Process Technologies、Hitachi Plant Technologies Ltd.（日立プラントテクノロジー）、Koch Membrane Systems、Kurita Water Industries（栗田工業）、Millipore Corp、Nitto Denko Corp.（日東電工）、Norit NV、Pall Corporation、Siemens Water Technologies、Suez Environnement、Toray Industries（東レ）、Trojan Technologies、およびVeolia Waterである
