ある清涼飲料メーカーは、マレーシアに新設した瓶詰工場のための水管理の解決策を生み出すためにSiemensを選んだ。この数百万ドルのプロジェクトには、水と廃水の処理設備や2年間の維持管理契約などが含まれている。
Siemensが提供する解決策では、運営上でより大きな柔軟性を許しているなかで、最低の総所有コスト、それにたとえば、エネルギー、水および化学物質の節約などの環境保全上の利点が提示されている。この工場は、2010年11月に稼働を開始する予定になっている。
1時間に150 m3処理できるプロセス水処理システムには、モジュール式逆浸透システムに加えて、SiemensのS3(Sanitize/Start/Stop、消毒などによって衛生的にする、起動、停止)プロセスのコンセプトが使われている。S3プロセスは、水処理システムが使用されていないときにはこれを停止することによって消費されるエネルギーと水および発生する廃水の量を削減することを目指している。このプロセスはまた、膜の寿命を伸ばすので、さらに運用コストを削減できる。S3プロセスを用いることによって、マレーシアの清涼飲料工場は、標準的なシステムを用いた場合と比べると、運営上のコストを約20 %節約できると推定される。
廃水システムの中核は、化学的酸素要求量(COD)と生化学的酸素要求量(BOD)を減らすことができる生物処理のためのOmniflo連続バッチ反応器(SBR:sequencing batch reactor)システムである。1日当たり1,200 m3を処理するよう設計されているSBRシステムには、Siemens Vari-Cantジェット・エアレーション(曝気)システムが使われている。
SBRシステムではまた、マレーシアの将来もっと厳しくなる廃水排水規則を満たすために栄養塩類除去プロセスを組み込むことができるようにしてある。すなわち、将来必要になった場合に、生物処理の能力を高めるためにモジュール式のシステムが設計されている。さらに、SBRシステムの「オンデマンド」設計によって、ジェット・エアレーションは、発生する特定のバッチの廃水に必要なときにだけ使うことができるようになっているので、操業コストをかなり削減できる。ジェット・エアレーターの寿命は20年を超えることが多いし、水面下に電気機械の稼働部品を使っていないので、このシステムは非常に低い保守管理費で済むように設計されている。