2010年World Water Weekで国連環境計画は水不足が電気事業に及ぼす影響を警告

2010年9月5日の週にスウェーデンの首都ストックホルムで開催された「2010年World Water Week」には世界各国から約2500名の専門家が集まり、持続可能な水の管理について討議が交わされ、その中で、国連環境計画(UNEP)は水不足が電気の生産に与える影響が懸念されるとの警告を発した。

これは、9月6日にUNEPが公表したファイナンス関連の短い報告書の中で示されたものであるが、その中でUNEPは電気事業セクターにおける水の持続的な確保にかかわる問題について概説し、懸念される地域としてオーストラリアや地中海沿岸国(ギリシャ、イタリア及びモロッコ)など5つの地域を挙げた。
同報告書は、火力発電や水力発電に関するパフォーマンス指標を提示して、金融機関などが電力セクターにおける水関連のリスクをより適切に理解し対処することができるよう意図したものである。電力セクターは大量のクリーンな水を必要としていることから、最近激しさを増す地球温暖化の影響を受けて水不足に曝されているのである。

このWater Week期間には、持続可能な発展のための世界経済人会議(WBCSD)やStockholm International Water Instituteなどによって「企業による水報告(corporate water reporting)」セミナーも9月8日に開催され、その中でWBCSDは、ウォーターフットプリントの算定表示方法であり、企業が水関連リスクを適切に評価できるよう支援する「Global Water Tool」の最新の策定状況についても説明した。

また、欧州水パートナーシップ(EWP: European Water Partnership)は、2010年9月12日まで持続可能な水の管理のためのドラフト基準について関係者からの意見を募集しており、その基準にはグリーン基準と企業がその基準をどの程度順守しているかどうかを評価する指標とが含まれている。
欧州では、水の違法な抜取りが増加しており干ばつも拡大していることから近年、水不足はEU政策アジェンダのトップに位置づけられている。2010年5月に発行された欧州委員会のレポートでも、チェコなどの中央欧州諸国でも水不足が頻発していると報じている。