チェコ環境省による環境対策の優先分野は「大気」、「自然環境」、「水」、「経済」

チェコのPavel Drobil環境大臣は2010年7月22日、記者団の前で、環境問題との取り組みにおける環境省の優先分野として「大気」、「自然環境」、「水」、「経済」を挙げ、それぞれの具体的な内容を報告した。

1)     大気―呼吸を楽に

大気質の改善にあたっては大気汚染発生源の取締りが急務と見ており、そのため、現在自治体等が策定中の取締規制の一層の拡充を支援する。なお地域住民の健康被害の恐れがある地域に関しては、汚染物質の排出上限値を規定する権限を政府に与えるべく、大気保護法の改正案を提出する予定である。

 2)     自然環境―国立公園と地域住民の共存

国立公園は、自然科学や教育の振興において重要な役割を担う貴重な自然環境を保護するという目的を有する一方で、人々に奉仕するとともに、環境ツーリズムや地元の歴史・特色の紹介を通して自治体や地域の活性化に貢献するという使命も担っている。すなわち、自然環境と地域住民は共存しなければならない。そのため環境省では、国立公園を人々に開放したいと考えている。

3)     水―地勢を考慮した洪水対策

昨今の洪水被害の拡大に伴い、将来に向けた洪水防止策の必要性が認識されている。予報業務や救援システムの強化のほかに、水土の保持能力を向上するために、地勢条件を考慮した恒久対策をとらなければならない。

4)     経済―経済活動を推進しつつ

まず、事業者に対する過剰な管理規定の削減と簡易化に取り組む。これには、2008年に実施された調査の結果が契機となっている。同調査により、国内約9000のサンプル事業者のわずか3%が大気汚染全体の80%を引き起こしていることが判明し、従って中小企業の取締りに多くの行政業務を割くことは非効率であるとの結論が導かれた。このため環境省では、予定されている大気汚染法改正案の枠組みで、中小企業に対する管理規定の簡易化・合理化を図りたいとしている。

また、交通関連ならびにエネルギー生産関連のインフラ整備を迅速化するために、環境影響評価(EIA)を含めた審議や手続きに要する期間を最短化すると共に、関連組織との協力を積極的に進めていく意向である。なお、エネルギー生産関連では、第一に再生可能エネルギー利用の推進に努める。