ロシアのプーチン首相、汚染されていない水を確保するためにインフラのための支出を増やし、規制を行うと発表

ロシアのプーチン首相は2010年10月20日、今後3年間に90億ルーブル(約240億円)が下水道や水処理施設といった水質浄化インフラを改善するために支出され、また、新しい規則が水源を汚染から守るために導入されると発表した。

与党の統一ロシアの目玉プロジェクトである水質浄化プログラムは、国中で飲料水と公衆衛生を改善し、飲料水とみなされるものに基準を定め、ストームウォーター(雨水など流出源を特定できない流出水)の流出や水源の汚染に対処することを目的としたものである。

プーチン首相は、モスクワにおける「水質浄化国際フォーラム(Clean Water International Forum)」でこの発表を行い、このフォーラムに参加した代表者らに「われわれは、法的枠組みの改善から始めて水関係インフラ全体の再建で終わる、このセクターの大規模な近代化を実施するつもりである」と述べた。

ロシアにおける飲料水の水質は、一般的によくない。欧州連合(EU)が資金援助しているEuropean Neighborhood Policy(ENP、欧州地域政策)グループの2007年報告書によると、ロシアにおける水質汚染の要因には、放射能汚染、未処理あるいは十分に処理されていない都市や産業の廃水、有毒化学薬品、石油流出、産業汚染、農業排水などがある。

この水質浄化プログラムは、当初は2009年に上記よりもっと高い予算で始まることになっていた。このプログラムには、年間200~400億ルーブル(約540~1080億円)という資金が支出されると見込まれて、ロシア議会の下院Dumaの統一ロシアの代表は、2009年の早い時期に、このプログラムにおける投資は、最終的には15兆ルーブル(約40兆円)に達する可能性があると推定していた。

この資金の削減については公的な説明は行われていないが、ロシアが世界的不況によって大きな打撃を受けているということは事実である。

プーチン首相は、ロシアの水質汚染問題の解決を支援するのに国際的な投資と協力が必要であることを強調した。

多くのそのような活動は、すでに進行中である。たとえば、未処理の廃棄物からの流出がバルト海における富栄養化、すなわち藻類の大増殖、の主な原因の1つであるので、北欧諸国は、ロシア北西部でいくつかの新しい廃水処理場に資金援助を行っている。

Nordic Environmental Finance Corp.(北欧環境融資会社)とEuropean Bank for Reconstruction and Development(欧州復興開発銀行)は、地元の水事業会社Vodokanalと組んでサンクト・ペテルブルクにおける10カ所の小規模下水処理場の改善に資金を提供している。

プーチン首相は、「地球上の25億人を超える人々が水不足に直面しており、人口増加や都市の発達、それに伴う生産の増加を考えると、どうみても水不足は増えるばかりである」と新たに起こりつつある飲料水の世界市場に触れて、ロシアは、世界の淡水資源のほぼ4分の1を占める同国の淡水資源を守る必要があると述べた。

なお、上記のENPグループの報告書Convergence with EU Water Policies—Short Guide for ENP Partners and Russia(EUの水政策に収束-ENPのパートナーとロシアのための短い手引書)は、以下のウェブサイトで見られる。
http://ec.europa.eu/environment/enlarg/pdf/pubs/water_en.pdf