カナダ・オンタリオ州の技術系企業支援組織Ontario Technology Corridorは、2010年11月3日から6日にかけて香港でひらかれている国際環境展Eco Expo Asia 2010に幹部らを派遣し、世界の大都市の成長にともなう諸問題の解決に寄与できる同州の環境技術企業の紹介に努めている。オンタリオ州はまた、拡大をつづけるアジア企業のために、北米で最も進んだクリーン・エネルギー政策、目標を定めた優遇策、および売り手側に有利なクリーン電力買い取りプログラムを用意している。
オンタリオ州内には、負の環境影響を減らしたりなくしたりする製品やサービスのための独自の技術を開発、販売、および利用しているクリーン技術企業およそ110社が本社を構えている。カナダ持続可能な開発技術基金(SDTC)の予測によれば、オンタリオ州内のこれらクリーン技術企業の総売上は、2015年には10億カナダ・ドル(約820億円)を超える見込みである。さらに、同州内には環境産業にたずさわる企業が2800社以上あり、およそ6万5000人を雇用して70億カナダ・ドル(約5700億円)を売り上げている。
廃水処理のClearford Industriesなどがすでに中国進出
これらの企業のなかには、すでにアジアでビジネスを展開している会社もある。たとえばオタワに本社のあるPlasco Energy GoupとClearford Industries Inc.は、すでに中国で事業をおこなっている。2010年6月、中国節能環保集団公司(CECEP)とPlasco Energy Groupは、合弁企業のCECEP-Plasco China Corp.を設立することで合意したことを明らかにした。Plascoは、廃棄物のエネルギー利用分野では世界でもトップクラスの技術であるPlasco Conversion Systemを、この合弁企業を通して中国に売り込む考えである。
また、2010年7月には、Clearford Industriesが湖北省における廃水の集水・処理システムに同社の特許技術であるSBS(Small Bore Sewer)を使う契約を獲得したことを明らかにした。これは同社の中国における初の成約である。さらにClearfordは、中国でベンチャー・キャピタルに関する調査研究などをおこなっている投資中国(China Venture)のランク付けで中国トップのブティック型投資銀行からプライベート・エクィティ資金を得ることにも成功している。
アジアのクリーン技術企業へのチャンス提供にも熱心なオンタリオ州
アジアのクリーン・エネルギー関連企業のオンタリオ州におけるビジネス・チャンスについて、オタワの会員制の経済開発組織でありまたOntario Technology CorridorのパートナーでもあるOttawa Centre for Research and Innovation(OCRI)のMichael Darch国際投資部長はこう述べている。「アジアの太陽光発電業界にとってオンタリオ州の最大の魅力といえば、オンタリオ州電力公社のクリーン電力買い取り(FIT)プログラムだろう。これはドイツやフランスの成功例に倣ったもので、北米初の、再生可能エネルギーによる発電を対象とした総合的な価格保証制度であり、太陽光、陸上および海上の風力、バイオマス、バイオガス、埋立処分場発生ガス、および水力による発電に、長期契約のもとでの安定価格をもたらすプログラムだ」
オンタリオ州では現在694件のクリーン電力買い取り契約が成立しており、これにより、すでに直接・間接含めて2万人のクリーン・エネルギー関連雇用が創出され、世界中から約90億カナダ・ドル(約7400億円)の民間資金を呼び込むことができた。Darch部長はさらにこう述べている。「この州のクリーン・エネルギー・パートナーシップにアジア企業が参加してくれるのを、われわれは大歓迎する。緊密な協力関係を育んでいくのにじゅうぶんな土壌が、ここにはある」
オンタリオ州は、2009年5月に「グリーン・エネルギー法」という州法を制定するなど、クリーン・エネルギー政策の推進にかけては北米のトップを行っている。同州が推進している目標設定型のプログラムで、代替エネルギーやクリーン技術分野に関連したものとしては、このほかにオンタリオ州新技術基金、オンタリオ州革新実証基金、オンタリオ州電力公社技術開発基金、SD Tech基金、およびSDTCのNextGenバイオ燃料基金がある。