フィリピンFPICのパイプライン漏洩、罰金のほかに浄化の透明性も求められる

マニラ首都圏のマカティ市で2010年7月12日に露見したFirst Philippine Industrial Corporation(FPIC)のパイプライン漏洩事件で、同社は漏洩を止めるまでの1日あたり20万ペソ(約38万円)の罰金と、浄化責任のほかに、浄化プロセスの透明性も求められている。このパイプライン漏洩は、マカティ市のWest Tower Condominium(WTC)の地下付近で発見されたもので、漏出した石油により、周辺の土壌や地下水が汚染された。

当面の罰金は2420万ペソ:

この件について環境・天然資源省は2010年11月23日、FPICに対して当面の罰金として2420万ペソ(約4620万円)を科したことを明らかにした。これは水質保全法(共和国法第9275号)第27条にもとづく措置で、何らかの物質の排出や放出によって表土や下層土を汚染し、地下水汚染の原因をつくった者には1日あたり最高20万ペソの罰金が科せられることになっている。FPICに対する当面の罰金の額は、2010年7月12日から、同社が漏洩を止めたとしている同年11月10日までの121日間の分として決められたものである。

だが、Ramon J. P. Paje環境・天然資源大臣は、この罰金の額はあくまでも11月10日までの分で、今後の地下水サンプリング調査で汚染物質の残留が確認されれば、罰金はさらに増額される可能性もあると言明している。

浄化プロセスの透明化を:

汚染土壌の浄化については、FPICが責任をもって完全におこなうとの意思をすでに表明している。しかし、Paje環境・天然資源大臣は、これを歓迎しつつも、FPICに対し、単に浄化を完全におこなうばかりでなく、浄化プロセスの透明化、すなわち情報の完全開示を求めている。同大臣はまた、環境管理局に、マカティ市と協力してアセスメントと浄化の状況を仔細に監視することを命じた。

漏洩現場付近では現在、土壌と地下水の汚染状態を知るための観測井が掘られているところで、Paje大臣は12月2日、その工事状況を視察した。観測井は、FPICが浄化作業を委託しているアメリカのCH2M Hillが20本以上掘ることになっている。だが、この観測井の数について、今回の土壌浄化を担当するCH2M Hillの責任者は、汚染の状況を完全に評価するのに必要であることが判明すれば、その数をさらに増やすことになるだろうと述べている。