米国政府と世界銀行、粗末な衛生設備に立ち向かい、途上国に安全な飲料水を確保するための合意書に署名

米国のHillary Clinton国務長官とRobert Zoellick世界銀行グループ総裁は2011年3月22日、米国政府と同銀行が粗末な衛生設備の影響に立ち向かい、途上国に安全な飲料水を確保しようと努めなければならないことになる合意書に署名した。

この覚書は、多くの米国の政府機関と世界銀行に、水危機と水質に対処し、水資源を管理し、洪水、気候変動、および干ばつがもたらすリスクを減らすように指示するものである。

Clinton国務長官が世界銀行における水の擁護者、国連や南アフリカの代表者、米国の当局者、銀行員などの公開の会合において述べたことの要点は、次のとおり。

  • 水へのアクセスは、世界中で危機的な水準に到達している。この問題は、今対処しなければならない。これは、健康危機であり、農業従事者の危機であり、経済危機であり、気候危機であり、次第に政治危機になりつつある。
  • 現在は毎日5,000人を超える人々が衛生設備と飲料水に関係した病気が原因で亡くなっており、また2025年までに世界の人口の3分の2を超える人々が水ストレスを受けて暮らすことになると考えているので、今回の合意は、望ましい前進である。したがって、われわれは、現状より悪くならないようにするためにできることをする決意をしている。
  • 水不足から起こる紛争の可能性を懸念して、国家情報会議に、水資源の世界的な供給と要求について評価することを含む、2040年までの水安全保障問題で引き起こされると考えられる影響について検討するよう要請している。
  • 米国国際開発庁(USAID)は、汚染されていない飲料水と衛生設備へのアクセスを改善するためにアジア、アフリカ、および中東にわたっていくつかのプロジェクトに取り組んでいる。

Clinton長官の後に、Maria Otero民主主義・世界的業務担当国務次官は、オバマ政権は、国際的プログラム用の資金供給を大幅に削減するという議会からの脅しにもかかわらず、米国の政府機関が提供すべき技術支援と専門的知識の提供を推し進めるつもりであると述べた。

また、2001~2006年にブッシュ政権で米国の通商代表を務めたZoellick世界銀行総裁は、次のように述べた。

  • 水は、ほとんどの貧困問題と開発問題の中心にある。水に関係した死亡は、毎年200万人に達しており、これは、毎分4人が死亡しているということになる。
  • 2010年に世界銀行は、水関係事業のための資金供給に57億ドル(約4700億円)、同行の水・衛生設備のプログラムを通じての知識と技術の支援に408億ドル(約3兆3000億円)および多数国間投資保証機関(MIGA)を通じての水関係投資保証に7億5400万ドル(約620億円)を提供した。
  • 世界銀行の国際金融公社は、2003年以来民間企業の水関係事業のための資金供給に14億ドル(約1100億円)とバルク水、配水、廃水管理、およびかんがいのための官民のパートナーシップに関する助言を提供している。
  • しかし、水の使われ方が変わらなければ、資金は役に立たたない。

なお、上記の覚書にかかわる米国の政府機関は、商務省、エネルギー省、内務省、国務省、財務省、環境保護庁(EPA)、輸出入銀行、国際国境・水委員会米国部、ミレニアム・チャレンジ・コーポレーション、航空宇宙局(NASA)、海洋大気局(NOAA)、海外民間投資公社、USAID、米国地質調査所(USGS)、米国貿易開発機関などである。