中国・河北省、汚染物質排出権取引を全面的に実施へ

2011年7月、環境保護庁および河北省物価局は、化学的酸素要求量、二酸化硫黄の取引基準価格を制定した。取引基準価格は汚染物質排出権取引に用いられ、化学的酸素要求量は2500元(約3万円)/トン、二酸化硫黄は2000元(約2万4000円)/トンに設定されている。この価格は各地域で取引価格を設定する際の基準となるものであり、河北省において汚染物質排出権取引が今後展開していく上で重要なファクターとなる。

2010年12月、河北省政府は、「河北省主要汚染物質排出権取引管理弁法(試行)」(「管理弁法」)を公布した。

同 「管理弁法」では、2011年5月1日から、環境質に関連する要求および主要汚染物質排出総量規制を満たすことを前提に、主要汚染物質排出権の譲渡側と譲受側は、取引機構において関連法律に従って取得した主要汚染物質年度排出許可量を公開取引することが可能となると定めている。

汚染物質排出に関する総量規制の実施に伴い、中国では基本的に建設に係る新規プロジェクトや設備増設などといった拡充プロジェクト実施の際に生じる主要汚染物質排出について申請し、その排出量に関して政府から汚染物質排出許可を得る必要がある。

今回の河北省の規定では、2011年5月1日以降に審査を通過した新規プロジェクトや拡充プロジェクトにおいて、プロジェクト実施に伴い生じる主要汚染物質年度排出許可量を、市場での取引を通じて事前に賄う必要がある。同「管理弁法」は予定通り2011年5月1日から実施されている。

河北省環境保護庁の李葆副庁長の話によると、「管理弁法」に基づき、化学的酸素要求量、二酸化硫黄、アンモニア態窒素、窒素酸化物の4種が河北省汚染物質排出権取引の対象となる主要汚染物質とされる。現在、河北省では、化学的酸素要求量、二酸化硫黄の2種類のみが取引対象とされているが、将来的には、条件が整い次第順次導入される予定である。

また取引の管理・監督も、省、市といった2つの異なる行政レベルで行う。省レベルの取引管理機構は、省および省レベル以上の環境保全主管行政部門により許可され、河北省で実施するプロジェクトにおける排出権取引、複数の市にまたがる排出権取引、火力発電企業の権排出取引に対し管理・監督を行い、その他の関連する取引は市レベルの取引管理機構が管理・監督する。

河北省唐山市および保定市満城県においては、「唐山市主要汚染物質排出権取引弁法(試行)」、「製紙業汚染物質出権取引弁法(試行)」(保定市満城県)などが既に公布され、排出権取引を一部実施しており、関連するモデル事業が順調に展開されている。