Siemens、水処理用の微量金属除去媒体を新発売

Siemensは2011年10月17日、産業廃水、地下水、および雨水から微量の規制対象金属を除去する新しい特殊媒体――SCU Trace Metal Removal Media――の発売を公表した。この媒体は、さまざまな成分から成る廃水から、銅、亜鉛、鉛、水銀、カドミウム、三価クロム、ニッケルなどの微量の金属を、イオン交換樹脂では不可能なレベルにまで除去することができる。

現在まで使われているイオン交換樹脂は、廃水に含まれる汚染物質やその化学成分にもよるが、通常の産業廃水の場合は重金属の濃度を25 ppbにまで下げることができる。多くの産業が厳しさを増す排水規制に直面しているなかで、Siemensは、新たな排水基準を満たすための企業や自治体の取り組みを支援する目的で、このSCU特殊媒体を開発した。北米で販売が開始されたこのSCU媒体は、ほとんどの金属の濃度を、最大流量が毎分5000ガロンという条件下で1 ppb未満に下げることができる。水銀の場合は、この媒体によって12 ppt(1 pptは1兆分の1)未満のレベルを達成することができ、このレベルは、現在のアメリカにおける環境への排出基準を満たしている。

このSCU特殊媒体について、Siemens Industry, Inc.のWater Technologies Services部門のAdam Szczesniakプロダクト・マネージャーはこう述べている。「SiemensのSCU Trace Metal Removal Mediaは、通常のイオン交換樹脂や添加化学薬品では対応できない高度な浄化が求められる水処理用途や排水基準に対応するための、真にユニークな製品だ」

ニーズに合った媒体システムを提供:

顧客のニーズに合わせて、Siemensは短期使用型の緊急時用SCU媒体システムと、長期使用型の常設用SCU媒体システムを提供する。媒体は交換が可能で、使用済みの媒体はSiemensのサービス要員が、資源保全回収法(RCRA)のもとでの許可を取得している同社の中央処理施設まで運ぶ。そこでは、有害でない廃棄物も有害廃棄物も、あらゆる州と連邦政府のガイドラインに準拠して処理され、有価金属はできるかぎり再生原料にリサイクルされる。

SCU特殊媒体にはさらに、設置面積が小さいこと、設備投資を節約できるサービス・ベースのソリューションがあること、また、月極めのレンタルが可能なことなどのメリットがある。また、システムを設置する前にSiemensの研究施設でベンチスケール試験を実施し、その性能を確認することもできる。

媒体の交換に関してもSiemensの方式はフレキシブルで、顧客の事業規模の拡大や規制値の改正に合わせて処理能力を増減させることができる。その場合、システムを変更するにはサイズまたは媒体の種類を変えるだけでよく、現場のニーズに素早く対応することができる。この方式はまた貴重なスペースの節約にもなり、さらに、設置作業や保守の手間の最小化にもつながっている。

SCUはSiemens(一部の国ではその系列会社も含む)の商標である。この製品についてのさらに詳しい情報については下記URLを参照されたい。
http://www.water.siemens.com/en/products/ion_exchange/cation_anion_specialty_resins/Pages/scu-specialty-media.aspx?stc=wwiis200245