OECDが東欧、コーカサス及び中央アジアにおける水部門改善の10年を総括する報告書を公表

2011年9月21日にカザフスタン共和国の首都アスタナで開催された欧州閣僚会議の初日に、OECDは報告書「Ten years of water sector reform in Eastern Europe, Caucasus and Central Asia(東欧、コーカサス、中央アジアにおける水部門改善の10年)」を正式に公表した。

同報告書によれば、東欧、コーカサス及び中央アジア(EECCA:Eastern Europe, the Caucasus and Central Asia)の諸国は、旧ソビエト連邦時代からの充実した水関係インフラ網を引き継いだが、その後このインフラ網は、維持管理の欠如、財源不足、無力な制度のほかにもたとえば、経済や人口の変化そしてエネルギー価格の急上昇などの外部要因によって著しく劣化してしまったという。その結果、この地域の人々は、サービスのレベルや質の絶えざる低下に加え、人の健康、生態系、経済開発にとっての重大な脅威にも直面している。

この報告書は、EECCA諸国の経済、財務、環境相が2000年に、これらの地域に住む人々が十分な上水や下水のサービスを確実に利用できるようにするための取り組みを後押しするための「Almaty指針(Almaty Guiding Principles)」を採択したのだが、それ以来これらの国々がどの程度この取り組みを実施したかについて評価を行なっている。

また、水部門の技術的・財政的なパフォーマンスの動向が考察されているほかに、さまざまなレベルの統治における制度改革や金融面での対応の結果についても分析が行われている。その分析は、主として都市圏に焦点を当てているが、農村地域の課題の一部についても取り上げている。

また、同報告書は、過去10年間に多くのEECCAの国々では急速な経済成長によって水部門改善のチャンスが与えられていたにもかかわらず、これらの国々でこの期間に生じた水部門のパフォーマンスの低落を抑えるのに役立つ政策を提言している。

なお、この報告書は、次の内容で構成されている。

  • 序文
  • エグゼクティブ・サマリー
  • 背景と経緯
  • 最近のトレンドと現状
  • 制度面の改革
  • 財政面の持続性
  • 政策面での勧告
  • 付属書:国別の主要統計データ