中国国務院常務委員会で、「全国地下水汚染防止計画(2011-2020)」が審議を通過

温家宝国務院総理が召集した国務院常務会議で2011年8月24日、「全国地下水汚染防止計画(2011-2020)」が審議を通過した。

現在、中国において地下水採取量は水供給量全体の18%を占めている。特に、北部地域においては、65%の生活用水、50%の工業用水及び33%の農業灌漑用水が地下水で賄われている。また、全国657都市の内、400以上の都市が地下水を飲用水水源として利用している。

近年、中国の都市化や工業化が進展するにつれ、一部の地域においては、地下水の過剰採取と、それに伴う地下水位の低下といった問題が生じている。また、都市汚水、生活ごみ、工業廃液、化肥や農薬の漏洩および浸透による地下水汚染問題が深刻であり、住民の生活にも既に大きな影響を与えている。

同会議では、「全国地下水汚染防止計画」の速やかな制定、実施を促し、地下水安全を保障するよう要求し、地下水汚染防止に向けて以下の二段階に分けた目標が挙げられた。

  • 2015年までに、全国の地下水汚染状況をほぼ把握し、地下水に影響する汚染源をコントロールすると同時に、地下水水質の更なる悪化を阻止し、地下水環境管理システムを全面的に構築する。
  • 2020年までに典型的な地下水汚染源における監視を全面的に実現させ、重要地下飲用水水源の水質の安全性を保障し、重点地域の地下水水質を改善させ、地下水における環境監督・管理能力を全面的に向上させ、地下水汚染防止システムを構築する。

これら目標の実現のため、同会議では、以下の8つの取組みの実施を要求している。

  1. 地下水汚染現状調査・評価を実施し、地下水において、「汚染対策地域」、「汚染予防地域」、「一般保護地域」の区分を明確にする。
  2. 地下水飲用水水源における保護・環境違法行為における取り締まりを強化する。
  3. 地下水水質に影響がある都市部の汚染状況を改善させる。
  4. 重点産業の地下水環境に対する監視を強化し、石油化学工業、地下工事、地下探査、採掘による地下水の汚染を防止し、危険工業廃棄物の地下水への影響を抑える。
  5. 農業活動による非点源汚染の地下水への影響を抑制し、化肥・農薬の使用を徐々に減らし、水源保護地域においては、「退耕還林還草」(耕作を中止し耕地を林・草に戻す)を促す。
  6. 効果的な措置を講じて、汚染土壌や汚水灌漑による地下水汚染を防止する。
  7. 汚染された地下水の修復を計画的に加速する。地下水汚染問題が深刻な地域においては、修復モデル事業を実施する。
  8. 地域及び重点地区の地下水環境監視システムを構築し、専門の地下水環境観測チームを設立する。

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