中国北京市で海水淡水化プロジェクトが進行――造水量300万m3/d目指す

中国北京市民は5年以内に淡水化された海水が飲めるようになる。海水淡水化は、北京市における深刻な水不足に対して、問題解決の糸口となると見られている。

中国日報は国家発展改革委員会ウェブサイトを引用し、河北省曹妃甸において、渤海湾の海水を淡水化し、230kmのパイプを通して北京市に輸送するというプロジェクトが試験的に実施されていると報じた。

国家発展改革委員会によれば、この海水淡水化プロジェクトは中国で初め計画されたもので、プロジェクトには4億3000万元(約52億円)が投じられる。5万m3/dを造水したプロジェクトの第1ステージは2011年10月11日に完了している。

このプロジェクトには、ドバイとノルウェイに本部を持つ海水淡水化事業を行うAqualyngから技術提供がされている。同社のマーケティング担当者が中国日報に語ったところによると、来年には10万m3/dの造水が可能と見込む、海水淡水化プロジェクトを推進するため、同社は中国との協力関係を続けていくという。同社は近い将来100万m3/dを造水するプロジェクトへの着手を目指しており、長期的には同社のプロジェクトによる造水量は300万m3/dまで達すると見込んでいる。国家発展改革委員会・解振華副主任はこのプロジェクトに対し、北京市における水不足問題解決を図るうえで重要な役目を担うと語っている。

北京市における水供給を担う北京市自来水集団(Beijing Waterworks Group)の広報担当者が中国日報に語ったところによれば、北京市における水需要は急激に増加しており、都市の地下水は過剰摂取されているという。同広報担当者は、北京市の人口増加とそれと同時に生じる水需要増加に触れつつ、最大給水量が300万m3/dの北京市において、昨年のピーク時における使用水量は288万m3/dに達したと話している。

北京市自来水集団広報担当者によれば、このプロジェクトにおける8000kmのパイプライン網は全市をカバーするという。海水淡水化の専門家であるFu Tao氏は、曹妃甸から北京市に至るパイプラインシステムは壮大な計画だとし、このプロジェクトにおける海水淡水化は電気やその他のエネルギーを大量消費し、その結果莫大なコストがかかり、市民が払えないほどの価格上昇を引き起こすと指摘する。

しかしFu Tao氏はより大規模な計画が推進されればコストは下がるだろうとも語り、政府も水道料金を下げるために補助金を支給するだろうと予測している。

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