インド内閣、国家製造政策を承認――環境監査および水監査の義務化や各種インセンティブ制度の導入を盛り込む

インド内閣は、2011年10月25日、“国家製造政策(National Manufacturing Policy)”を閣議にて承認した。この政策の主要な目的は、以下の通りである。

  1. GDPに占める製造業の比率を2022年までに少なくとも25%に引き上げ。
  2. 雇用創出率を上げて2022年までに1億人の雇用を創出。
  3. グローバルな競争力、国内的な価値付加、技術力および環境面での持続可能性の向上

本政策は、製造業の発展を目指す包括的な政策であるとともに、環境に配慮したグリーン・マニュファクチュアリングの推進に向けて、その方針を明示している。以下は、国家製造政策にて掲げられている環境管理の強化に向けた方針の概要である。

i) 環境監査
国家投資製造区域(NIMZ:National Investment and Manufacturing Zones)に進出する企業に対する環境監査の義務化 環境監査は、外部監査人に依頼して、NIMZに進出している事業体自身が行う。監査を受ける中小企業に対しては、上限を10万ルピー(約16万円)として25%の助成金が交付される。環境監査の実施に際しては、関連法令に従う。
ii) 節水
国家投資製造区域(NIMZ)に進出する企業に対する水監査(Water Audit)の義務化 水監査は、外部監査人に依頼して、NIMZに進出している事業体自身が行わなければならない。監査を受ける中小企業に対しては、上限を10万ルピー(約16万円)として25%の助成金が交付される。

水消費量が基準を下回る場合には、“水質汚染(防止および管理)税法”に基づく水使用税の支払いが免除される。

iii) 排水処理 すべての産業に対して、当局の排水基準を満たすよう廃水の処理を義務づける。排水ゼロを実施している工場や廃水リサイクル施設を設置している工場に対してはインセンティブを提供する。
iv) 雨水収集 産業施設に対して雨水収集を義務づける。
v) 再生可能エネルギー 特定のプロジェクトを対象としてインセンティブを提供する。
vi) グリーンビルディング NIMZ における2000 m2以上の面積を有するすべての建物(工業施設、商業施設、居住施設を含む)に対して、インド・ グリーンビルディング協会(IGBC:Indian Green Building Council)あるいはGRIHAシステムによるグリーン格付けを取得した際に、20万ルピー(約32万円)のインセンティブを提供する。

※ 国家投資製造区域(NIMZ:National Investment and Manufacturing Zones)とは、本政策にて基づいて初めて導入されるもので、製造業の発展を目指して今後開発が進められる予定である。NIMZは、製造工場のみならず、行政サービスや居住区、商業施設、ロジスティックス、環境保護メカニズム等を含む、複合的な区域として開発される。

前述の国家製造政策は、以下のURLよりダウンロードできる。
http://india.gov.in/allimpfrms/alldocs/16395.pdf

タグ「」の記事:

2020年3月23日
中国水利部、「2020年水土保全業務要点」を発表――生産や建設における水土保全関連法規への違反行為を厳しく処罰し、「ブラックリスト」に加えるなど信用管理を実施
2019年12月27日
中国工業情報化部、水利部など、「2020年重点水使用企業水利用効率トップランナー選出業務実施に関する通知」を発表――選出の対象や基本的要件、選出手順など規定
2019年12月3日
中国北京市政府、水環境対策3年計画を発表――汚水処理施設の整備などの措置を提示
2019年12月2日
中国生態環境部、「農村黒臭水対策業務ガイドライン(試行)」を発表――農村黒臭水対策モデル事業の展開も規定
2019年9月18日
中国、「京津冀工業節水行動計画」を発表――重点業種の工業用水の効率化を目指す