Veoliaの財務諸表に業績の過大評価と、アメリカの株主企業が訴訟

フランスの廃棄物と水の最大手で、輸送とエネルギーのサービスも提供しているVeolia Environmentの2007年から2011年にかけての財務諸表に、業績の過大評価や誤解を招く内容があったとして、同社のアメリカの株主企業が同社およびその経営トップらを相手取って訴訟に踏み切った。

これに対してVeolia Environmentは2012年1月6日に声明を発表し、そのなかで、「Veoliaは、当社の財務情報が誤解を招くものであった可能性があるといういかなる主張も法的根拠がないものと考え、訴えの却下を求めていく所存である」と述べた。

この訴訟はニューヨーク州南部連邦地方裁判所に提起されたもので、Veoliaはまだ訴訟の公式な通知を受け取っていないとしている。

集団訴訟へ:

原告Barbara L. Maclay Trustの弁護士らは、この訴訟を集団訴訟にもちこむことをめざしており、2007年4月27日から2011年8月4日までのあいだにVeolia Environmentのアメリカ預託株式を購入した株主に対し、60日以内に原告団に加わるよう呼びかけている。

アメリカの法律では、ある訴訟を集団訴訟として扱うかどうかは訴訟開始後に裁判官が決める。また、集団訴訟とした場合、原告代表と原告側の法律事務所を裁判官が指定する。証券取引法違反事案での集団訴訟は、決着まで数年を要することがある。たとえば、フランスの重電グループ企業Alstomや、メディアと電気通信のグループ企業Vivendiも、ここ数年のあいだに同様の訴訟を経験している。

訴状の内容:

2011年12月27日に提出された訴状は、被告として法人としてのVeolia、それにVeoliaの前CEOで現在も役員であるHenri Proglio、現会長兼CEOのAntoine Frerot、現CFOのPierre-Francois Riolacci、および前CFOのThomas Piquemalの名前を挙げている。

訴えの内容は、Veoliaがアメリカの証券取引法に違反したというもので、具体的には、不適正な会計処理や内部管理の不備により、決算結果を相当程度過大に見せたほか、モロッコにおける輸送事業、エジプトの環境サービス事業、およびアメリカとヨーロッパにおける海洋サービス事業の評価損の計上をタイムリーにおこなわなかったとしている。

その結果、「被告らは、会社とその将来性に関して明確に述べるための合理的な基盤を欠いていた」と訴状には記されている。

2011年、Veoliaは2度にわたって業績予想の下方修正を余儀なくされた。アメリカにおける事業の大幅な再構築に踏み切ったとき、および巨額の資産売却による負債の圧縮といくつかの国からの撤退を開始したときである。

Veoliaはまた、2011年のブルー・チップCAC指数の対象銘柄のなかで最も落ち込みが激しく、株価が年間で61%下落した。