フランスの巨大環境サービス・グループ、Suezは、2011年の決算を2012年2月8日に公表した。決算内容は、オーストラリアで建設中の淡水化プラントが足枷となって思わしくなかったが、Suezは声明で、バランスシートの健全性は今後とも堅持していくと述べている。しかし、市場はこれに冷淡に反応し、パリ証券取引所でSuezの株価は下落した。
Suezは声明のなかで「低迷したままの経済環境」を強調し、Jean-Louis Chaussade CEOの発言として、2012年と2013年の最優先課題は「収益性を守り、キャッシュフローの持続性を保つことによって健全なバランスシートを維持すること」だと述べた。
純益は大幅減:
公表された決算によると、2011年の売上高は6.9%増の148億ユーロ(約1兆6100億円)となったが、純益は42.8%減の3億2300万ユーロ(約350億円)に落ち込んだ。Suezによれば、これはメルボルンで建設中の淡水化プラントに追加費用が生じたためで、この追加費用が純益を2億3700万ユーロ(約257億円)減少させた。なお、この建設工事は現在89%が完了しているという。
中核営業利益は7.4%増の25億ユーロ(約2700億円)で、2013年末にはこれが27億ユーロ(約2900億円)に達するかあるいはそれを超えるとSuezは予想している。
この決算結果についてChaussade CEOはこう述べている。「われわれのふたつの事業は当初の見込みを超えてきわめて堅実な業績を示している。水の事業ではヨーロッパで精力的な営業活動を展開したし、廃棄物事業もさらなる業績回復へ向かっており、国際市場においても成長を維持している」
しかし、投資家のあいだではこの決算に失望感があり、発表日のパリ株式市場ではSuezの株価は正午現在で前日比0.74%安の10.02ユーロ(約1084円)となった。このとき、フランスの代表的40銘柄の株価の動きを示すCAC 40指数は前日比0.39%高だった。
いっぽう、負債については、グループ全体で76億ユーロ(約8200億円)と安定している。Suezは2011年にイギリスのBristol Waterを売却したのにつづいて、現在、ベルリンに本社のある水・廃棄物企業のEurawasserを、ドイツのグループ企業Remondisに9500万ユーロ(約100億円)で売却する手続きを終えようとしているところである。