廃棄物の河川への投棄によりアルゼンチンの14の事業者を提訴

アルゼンチン北西部サン・ミゲル・デ・トゥクマン(San Miguel de Tucuman)の連邦裁判所は、2011年11月9日、有害廃棄物法の違反の申し立てに関して工場所有者および管理者を裁判にかけるための十分な証拠があるという判断を下した。アルゼンチンのSali-Dulce川に未処理の廃棄物を投棄したとして、製糖、柑橘類の加工、紙パルプ、食肉包装そして建設などを含む14の事業者が裁判にかけられる予定である。裁判の日程はまだ決定されていないが、被告人は最大10年の禁固刑に処される可能性がある。

今回の決定はトゥクマン州がSali-Dulce川とその支流における工業汚染を防ぐ新たな取り組みを立ち上げた7ヵ月後のことであった。同計画は工場などからの汚染物を除去するために2600万ペソ(約1.5億円)の連邦資金が投じられた。

2006年に開始された前回の計画では、15の製糖所、7つの柑橘類およびその副産物の加工業者は5200万ドルを投資し、廃水のSali-Dulce川への放出を低減する誓約を行っていた。2008年にはトゥクマン州で、製糖業を営むLa Coronaの幹部3名が廃水により同河川を汚染したことにより告訴された。Sali-Dulce川の汚染に関する訴訟は、2005年にサンティアゴ・デル・エステロ(Santiago del Estero)州政府がSali-Dulce川が流れ込むRio Hondoという人口湖で魚が大量死したことを非難したことをきっかけに始まっている。

サンティアゴ・デル・エステロの行政監察官であるMartin Diaz Achaval氏は今回の起訴について「この起訴状は我々が良い方向へ向かっていること証拠である」と称賛した。いっぽうで、同氏は州政府および連邦政府はバイオ燃料によるさらに深刻な汚染を防ぐための取り組みを強化することを要請している。2008年に連邦政府は5億ドルの投資を誘い込むために北部各州のバイオ燃料(その多くがサトウキビ由来)増産を支援する計画を立ち上げている。Sali-Dulce川はアルゼンチン最大の湖であるMar Chiquitaへも流れ込んでおり、2010年には同湖で有害廃棄物による魚の大量死が発生している。