ベトナムでは、このほど「2050年を視野に入れた2030年までの首都ハノイにおける排水マスタープラン(案)」が策定され、2012年2月21日、ハノイ市人民委員会はこの件に関する会議を開催した。本マスタープラン(案)において、その中心に据えられているのは、氾濫防止、雨水と汚水の分流および大規模排水処理施設の建設である。
ベトナム水・環境株式会社Nguyen Thanh Hai副社長によると、2030年までの排水マスタープランは約33万4470 ヘクタールの地域に居住する1080万人の需要に応じるもので、その内、都市人口は約70~80%を占めるという。2030年までのハノイ排水マスタープランは、To Lich川流域、Dong My地区、Nhue川の左岸地域、Nhue川の右岸地域、Phu Xuyen領域、Long Bien-Gia Lam地区、Me Linh-Dong Anh地区、Dong Anh都会地区、Son Tay地区、Hoa Lac地区、Xuan Mai地区、Quoc Oai地区 を中心に策定されており、特にこれら地域の中でも、Yen Soポンプ場の増設、To Lich川下流の水路の新設と改造、その他のポンプ場の能力向上などの案件に注目する内容となっている。
本マスタープラン(案)によると、2030年までの排水システム整備への総投資額は116兆4170億ドン(約4689億円)に及ぶ。投資に際しては、ODA、BT、PPPによる資金、ハノイ市の予算、民間資金などの資金源を最大限に活用する。
また、同マスタープラン(案)においては、生活廃水費の引き上げスケジュールも提案されている。現在、水道にかかる環境汚染費用は上水道料金の支払いを通して徴収されているが、今後、生活廃水費用として2015年には1立方メートル1501ドン(約6円)、2020年には、1立方メートル12200ドン(約49円)、2050年には、1立方メートル52500ドン(約211円)を支払うことになる見込みである。
加えて、ハノイ人民委員会Vu Hong Khanh副委員長は、現在ハノイの排水システムには雨水と汚水が一緒に流れているので、この問題を解決しないと、不安定の状況に落ちてしまうと指摘している。従って、同マスタープラン(案)では、雨水と汚水を分流する対策を出すべきだと提案されている。さらに、ハノイ生活廃水収集システムは現在河川システムなので、河川と湖を埋め立てる建設工事をそのまま繰り返すと、廃水が流せないほど停滞するという問題もある。こうなれば、氾濫が不可避の状況に陥る可能性があり、Khanh副委員長によると、都市地域の水面面積を強制的に増加させられる規定を出す必要性があり、具体的には、20ha以上の新設都市地域には、雨水を集める調和湖が必要だと指摘している。