OECD、途上国の水不足対策にイスラエルの技術を活用へ

経済協力開発機構(OECD)のAngel Gurría事務総長が2012年6月6日に語ったところによると、OECDは年とともに深刻さを増す水不足問題への取組の一環として、イスラエルの水関連技術とノウハウを途上国に活用していく考えだ。

Gurría事務総長は同日、イスラエルのUzi Landauエネルギー・水資源大臣および国営のMekorot National Water Companyの幹部らとの会談の席上、「世界の水危機は加速度的に進んでおり、水の需要は人口増加よりもずっと速いペースで増えつづけている」と述べた。

これに対してMekorotの幹部らは、2050年までに淡水の不足による世界の経済損失は年間8000億ドル(約63兆円)にも達しかねないと応じた。この数字は、アフリカ、南米、および西アジアを中心に、世界の人口の55%が水不足に見舞われる時代が40年以内にやってくるとのOECDの試算にもとづくものである。

Aravaモデル、淡水化、水再生利用など:

OECDの求めに応じて、Mekorotの幹部らはGurría事務総長に、国の水道網に接続されていない南部のArava地方で使われているさまざまなシステムをはじめ、水危機に対処するために開発された同社の革新的な技術を紹介した。

Mekorotの幹部らによると、Aravaのモデルはウガンダの最も乾燥した地域における水インフラの開発にまもなく使われることになっている。同社幹部らはまた、イスラエルのシステムを使ったキプロスのふたつの淡水化施設やブエノスアイレスに建設が予定されている河川水濾過プラントについてもGurría事務総長に説明した。

Mekorot National Water Companyは、イスラエルで過去7年間つづいた渇水のさなかに、淡水化プラントと下水処理施設の全国規模のネットワークを構築するのに貢献した。同社は、2016年までに全国の下水の90%の再生利用を実現するという政府の目標の達成に役立てるべく、さらに15億ドル(約1200億円)を投資することにしている。

Mekorotの幹部らがGurría事務総長に語ったところによると、イスラエルは現在、水の75%を再利用している。これは世界でも断然トップの実績で、2位のスペインでもわずか12%しか再利用していない。