中国環境保護部(MEP)、国家発展改革委員会(NDRC)、財政部(MOF)、水利部(MWR)の4省庁は、2012年5月17日に共同記者会見を開き、『重点流域における水汚染防止計画(2011-2015年)』(以下『計画』)を公表した。
同『計画』は、全国重点流域における水汚染防止関連の取り組みを強化し、水質の全面的な改善を図ることを目的として策定されたものであり、同『計画』が指定する“重点流域”には、淮河、海河、遼河、松花江、黄河上中流域、三峡ダムおよびその上流、巣湖、テン池、太湖、丹江口ダムおよびその上流の10流域が含まれる。
同『計画』では、重点プロジェクトに対し2015年までに総額3460億元(4兆円強)を投ずるとの見通しが示されている。また、以下のような具体的な発展目標が掲げられた。
水質向上目標
- 重点流域の水質を、2015年までに中度汚染から軽度汚染へと改善する
- I-III類*1に達する水質断面の割合を5%引き上げる
- 劣V類水質の割合を8%減少させる
- 2015年までに全国重要河川湖など水機能区*2の水質基準達成率60%を目指す
総量規制目標
- 重点流域におけるCOD排出量:2015年までに、2010年比9.7%削減する
- 重点流域におけるアンモニア態窒素排出量:2015年までに、2010年比11.3%削減する
*1 中国では川や湖などの水質汚染をI類から劣V類まで段階的に分類している。汚染が最も軽いのがI類であり、I類からIII類までは、飲用水水源として利用可能とされている。関連標準として国家標準<地表水環境質量標準>(GB 3838-2002)がある。*2 水機能区とは、水の機能・性質に基づき範囲を定め等級に割り振り、級ごとに定められた水質基準達成を目指す水域を指す。例えば飲料水の水源は2級に区分される。