2012年10月11日に発表された米国内務省のWaterSMARTプログラムに関する3年間の進捗状況報告書によると、このプログラムによって、水が節約され、現在の供給量を長持ちさせるためのより良い方法が見いだされ、内務省の協力者による今後の水需要を満たすための計画の立案が促進されている。このプログラムは、Ken Salazar内務長官が2010年に着手したものである。
米国における飲料水供給の持続可能な管理のための総合的な方策の一環として、新しいイニシアチブを既存のプログラムと組み合わせることで、WaterSMARTに基づくプロジェクトとほかの保護活動によって、年間およそ587,839エーカーフット(約7億2500万m3)の水の節約が見込まれている。これは、230万人を超える人々にとって十分な水量である。このような節水の結果が出たので、内務省は、2013年末までに年間730,000エーカーフット(約9億m3)の水を節約するという最優先の目標の達成を実現しようとしている。
Anne Castle水・科学担当内務次官補は、「WaterSMARTによって、われわれは、持っている水と人々と生態系のために必要な水とのバランスを実現するためにより持続可能なやり方で水を管理することができるようになった。利用可能な最高水準の科学を用いて、WaterSMARTによって差し迫った水不足が軽減されると同時に共同のプロセスを通じて長期のニーズのための計画が立てられる」と述べた。
節水などの成果は、報告書WaterSMART: A Three-Year Progress Report(WaterSMART:3年間の進捗状況報告書)に詳述されている。なお、WaterSMARTという語のなかのSMARTは、「Sustain and Manage America’s Resources for Tomorrow(将来のために米国の資源を持続させ、管理する)」の頭文字を取った形になっている。
節水に加えて、WaterSMARTプログラムによって年間4000キロワット時の電気が節約されている。これは、3,400の家庭にとって十分な電力である。
水再生利用局(Bureau of Reclamation、以下では「BoR」と呼ぶ)のMichael L. Connor局長は、「水とエネルギーはつながっている。水は、発電するのに必要であるが、エネルギーは、水を貯め、移動させ、処理するのに必要である」と述べた。
また、米国地質調査所(USGS:U.S. Geological Survey)のMarcia McNut所長は、「WaterSMARTイニシアチブによって「国家水センサス(National Water Census)」に関するわれわれの作業が大いに活性化している。このセンサスは、米国の飲料水の供給の量、質、および使用を決定するための調査で、30年以上行われなかったものである。これから得られる情報によって水資源管理者などの利害関係者が、水が今後、人、経済、エネルギー生産および環境のためにどのように使われるかについて最適化できるようになることを望んでいる」と述べた。
WaterSMARTの進捗状況報告書のなかで挙げられたほかの成果は、次のとおり。
- 2009年以降、約9400万ドル(約75億円)の連邦政府の補助金が、BoRのWaterSMART助成金を通じて158件のプロジェクトに与えられて、米国西部の全域における水管理の改善に2億8000万ドル(約223億円)が活用された。
- BoRと農務省の天然資源保全局(Natural Resources Conservation Service)は、カリフォルニア州で配水機関と農業生産者のための資金を活用するために2011年に新しい協力を始めた。BoRは、農業従事者が使う配水システムのなかでの水管理の改善のために410万ドル(約3億3000万円)のWaterSMART助成金を5つのかんがい区域で使えるようにした。天然資源保全局は、農場での保護の改善ができるようにこのようなかんがい区域から水を受ける農業従事者に700万ドル(約5億6000万円)を充当した。
- 約2億3100万ドル(約185億円)の連邦政府の補助金が、2009年から「第16章水再生利用・再利用プロジェクト(Title XVI Water Reclamation and Reuse Project)」のために提供された。その時から8件のプロジェクトが建設を終え、もう8件が2013年に完成すると見込まれている。プロジェクト・スポンサー(一般に、プロジェクトの費用の一部(無~全部)を支払う責任を持ち、プロジェクトを進めていく上で重要な役目を持つ人)は、2011年に約262,000エーカーフット(約3億2300万m3)の再生水を配水して、水管理者に渇水に強い水供給と新しい弾力性を提供した。
- BoRは、「水保全現場サービス・プログラム(Water Conservation Field Services Program)」を通じて129件の小規模の効率プロジェクトに経費共同負担の資金提供を行った。これらのプロジェクトのうちの69件は、現在完了している。
- BoRはまた、2009年以来18件の「システム最適化検討(System Optimization Review)」に260万ドル(約2億円)を超える資金の提供をして、プロジェクト・スポンサーが今後の水管理を改善する可能性を評価するのに役立っている。
- 国家水センサスの一環として、USGSは、コロラド州、デラウェア州、およびApalachicola-Chattahoochee-Flint川で「地理的焦点地域調査(Geographic Focus Areas Study)」を開始している。この調査は、水の利用の可能性と使用についての総合的な技術評価である。
- 内務省の各局はまた、米国の各地にある2,400カ所を超えるそれぞれの施設において節水するための措置を講じている。
- BoRは、米国西部の州で17件の「流域調査(Basin Study)」のために1200万ドル(約9億6000万円)を超える資金を提供して、協力者が水の不足、供給および需要のアンバランスという長期の課題や気候変動の影響について計画するのに役立っている。
- 2012年に始まった「共同流域管理プログラム(Cooperative Watershed Management Program)」では、初年度に8つの事業体に333,500ドル(約2700万円)の助成金が提供された。このプログラムの目的は、地域の流域管理のなかで、水質と生態学的な復元力の改善および共同保護の取り組みによる水に関する争いの削減である。