独Siemensが水技術部門の売却に関するアドバイザーとして米金融大手ゴールドマン・サックスを選んだと、2013年1月28日にロイターが報じた。売却については、2013年第2四半期に公式に発表される見通しであるという。
ドイツ最大級の時価総額を誇り、高速鉄道やガスタービンから補聴器まで多岐に及ぶ製品を扱うSiemensは、2012年11月、年間売上約10億ユーロ(約1210億円)に達する水事業部門を売却する予定であることを発表した。これ以降、様々な入札候補企業がSiemensに接触し、複数の投資銀行がこの話題に取り掛かり始めた。
Siemensの水事業の多くは北米に集中しているため、米国に拠点を置くXylemやPentairが興味を持っているのではと複数の業界筋は見込んでいる。一方、その中からは「アジアの企業もこの競争に参加するだろう」という声も聞こえている。アジアでは急速な経済成長、気候変動の影響、人口増加、そしてエネルギーおよび水関連の規制強化が起きており、今後の水処理装置への莫大な投資が見込まれている。このため栗田工業、Hyflux、日立製作所、丸紅といった企業を潜在的な入札候補として予想する人物もいる。さらにKKR、Bain、Permiraなどのプライベート・エクイティもこの話題に関心を示しているという。Permiraは2011年に、灌漑用機器メーカーであるイスラエルのNetafimを8億ユーロ(約968億円)で買収している。
この10年の間にSiemensは相次いで買収を行い、水事業部門を構築してきた。その一連の買収の中には、2004年に行われたVeolia Environment傘下のUS Filterの水システム・サービス部門の約10億ドル(当時は約1100億円に相当)にのぼる買収も含まれる。