中国広東省環境保護庁は2013年2月18日付で水質環境整備に向けた行動計画を発表した(“南粤水更清行動計画(2013~2020年)”、粤環[2013]13号)。同計画は2020年までの指針を示したもので、2013年、2015年、2020年とそれぞれ目標を掲げている。
[2013年までの目標]
- 広州市の珠江において、常に水質基準を満たす
- 石馬河、淡水河、佛山水道といった重点河川において、2013年に水質管理目標を達成する
[2015年までの目標]
- 都市の飲料水水源において、常に水質基準を満たす
- 農村の飲料水水源において、水質改善を図る
- 珠江デルタ地域の地表水環境機能区で劣V類*をなくす
- 石馬河、淡水河、佛山水道といった重点河川の水質をIV類へと引き上げる
- 水関連イベント(“愛我珠江親水節”、2012年は夏期に開催)期間中に、広州市の珠江の水質をIII類へと引き上げる
[2020年までの目標]
- 都市の飲料水水源において、常に高い水準の水質基準を満たす
- 農村の飲料水水源において、安全性を確保する
- 主要な地表水の水体において環境機能要求を達成する。広東省の90%以上の水質断面において環境機能基準を達成する。「優良」水質断面の比率を80%以上、複数の市にまたがる河川の水質断面において基準達成率を90%以上に引き上げる
- 地表水環境機能区において劣V類をなくす
- 佛山市から広州市の間の水体で基準を達成する
- 広州市の珠江において、豊水期にIII類を達成する
行動計画では更に、水質汚染への取り組みとして“河長”責任制を導入するとしている。これは重点流域において、水域の水質に対し責任を負う行政担当官を定め、その結果に対し考査・賞罰を実施する制度である。また、広東省では、以下の7項目の水関連プロジェクトに1187億元(約1.9兆円)を投じる予定である。
- 治水
- 飲料水安全
- 水源地保護
- 既存施設の効率向上
- 水に親しみやすい景観づくり
- 情報化管理
- 水資源に対する市民の意識向上活動
費用のうち、403億8500万元(約6700億円)が主要な汚水処理場の新設、拡張に充てられる。今後、こうした資金を投じ、汚水パイプラインの整備、汚水の再利用や汚泥処理施設の建設などが行われる見通しである。
南粤水更清行動計画(2013~2020年)の原文は以下より閲覧可能;
http://www.gd.gov.cn/govpub/bmguifan/201304/t20130407_177460.htm
* 中国では地表水を、その水域の使用目的などに基づき最も水質が良好なI類からV類まで段階的に分類し、それぞれの分類で望ましい水質の基準値を定めている。水域のグレード(類)の数値が大きくなるほど水質は悪く、その用途も限られてくる。生活飲用水源として利用できるのはIII類までとされ、V類よりも更に水質が悪化すると「劣V類」に分類される。