Suez Environment傘下のLyonnaise des Eauxは、フランス東部のミュルーズ市でリモート検針の契約を獲得した。同社はヨーロッパで100万基のスマート･メーター設置をめざしている。

ミュルーズ市はその「スマート･シティ」プログラムの一環として、市民の生活の質の向上につながるイノベーションに資金を投じている。周辺の13自治体を含むミュルーズ都市圏（人口19万4000人）の上水道を管轄しているミュルーズ水道公社は、地域の中核都市であるミュルーズ市の全利用者を対象に、Lyonnaise des Eauxの提供するリモート検針ソリューションの運用を2015年までにはじめることを決定した。
ミュルーズ市は、ターンキー方式のリモート検針ソリューションの契約相手として、Lyonnaise des Eaux、およびその子会社のOndeo SystemsとOcea Smart Buildingの計3社から成る共同事業体を選んだ。この総額350万ユーロ（約4億8000万円）の契約には、2年以内にミュルーズ市内の公社水道利用者のすべて――水道メーターの数でいうと1万6000基――をリモート検針に切り替え、コミュニティにリモート顧客管理サービスを提供することが含まれている。
この契約は、ミュルーズ市が住民本位のサービスを提供するためにはじめたイノベーション･プログラムの一環と位置づけられており、Lyonnaise des Eauxがこれまでに自治体から獲得したものとしては最大規模のリモート検針契約である。

サービスの質の向上と水資源の節約

Lyonnaise des Eauxのリモート検針ソリューションは、ユーザーへのサービスの質をいくつかの面で向上させる。このソリューションによって市当局は、住民が水の消費量を管理するための情報を1日単位で提供することができ、また、住宅での漏水が疑われる場合は住民に警告を発することもできるようになる。水道料金は推定消費量ではなく実消費量をもとに請求されるようになる。さらに、検針が自動的に遠隔でおこなわれるので、検診に立ち会うために家にいる必要がなくなる。
いっぽう、ミュルーズ市は、このソリューションによって上水道ネットワークの効率をリアルタイムでモニターすることが可能になり、それによって水資源を節約し、ひいては関連する経費を節減することができる。

成長いちじるしいヨーロッパのリモート検針市場でのリーダーの地位をさらに強化
Lyonnaise des Eauxの子会社のOndeo Systemsは、2009年に設立されて以来、ヨーロッパにおけるリモート検針市場の急成長を目の当たりにしてきた。この急成長の要因は、ひとつは市場そのものに内在する力、もうひとつはOndeo Systemsがヨーロッパで最初に導入した長距離通信技術(*1)を業界が選択したことである。Ondeo Systemsのこのソリューションは、（水道、家庭用給湯、ガス(*2)、電気などのあいだの）相互運用性と、中間機器が不要であるいう点で傑出しており、現場での展開が容易である。
2013年10月、Ondeo Systemsは、スマート･メーターを100万基――フランスに70万基、スペインに13万5000基、マルタに17万5000基――設置してヨーロッパのリモート検針市場における優位を強固なものにする新たな目標を打ち立てた。この技術を採用する都市の数は、ミュルーズ、イエール、ショレ、オルレアン、グラースなど、しだいに増えつつある。このことは、このリモート検針ソリューションの信頼性と、それが自治体やエンド･ユーザーに利益をもたらしていることの証しといえる。

持続可能な水管理を標榜しているSuez Environmentは、スマート･ウォーター関連のソリューションを戦略的開発目標のひとつに据えている。2020年には200億ドル（約2兆円）に達するとも言われているスマート･ウォーター関連市場の成長を足場に、Suez Environmentグループは2012年から2016年にかけて年率10％を超える勢いで売上を伸ばしていきたいとしている。

*1 このソリューションは169 MHzという周波数を利用している。ヨーロッパでは、この周波数はリモート検針用に確保されており、無料で使うことができる。*2 2012年6月、Ondeo Systemsは、都市ガス会社GrDFのリモート検針システムの設計･仕様決定の契約を獲得した。