欧州環境庁(EEA:European Environment Agency)は2013年9月27日、水道料金による費用回収の評価に関する報告書を発表し、水枠組み指令(2000/60/EC)がEU加盟国における効果的な水道料金政策にあまり寄与していないと報告した。水枠組み指令では、より効率的な水資源の使用を促進するようなインセンティブを与える料金徴収の実施を加盟国に要求しているが、EEAの調査結果によると、加盟国におけるそのような改善はみられなかった。
EEAによると、実際の使用量に基づいた料金徴収を実施すれば、家庭における水使用量は3分の1に減少するというが、現在、ほとんどのEU諸国では、水の使用量に比例しない一律の料金体系が採用されている。EEAはまた、水道料金は浄化や輸送コストを含めた資源コストが適切に反映されるべきであり、資源の枯渇などの要因も考慮すべきであると勧告された。しかしながら、水枠組み指令で規定された費用回収の概念や、環境、資源コストを料金に反映させる要求に関する解釈の仕方は、加盟国の判断に委ねられているという。
いっぽう、多くの加盟国が廃水や未処理の汚染物質の処理費用を汚染者に対して課すための調査を実施していることがわかった。なお、同報告書では、クロアチア、イングランド、ウェールズ、スコットランド、フランス、ドイツ、オランダ、セルビア、スロベニア、そしてスペインが調査対象となっている。
URL:EEAによる報告書“Assessment of cost recovery through pricing of water”
http://www.eea.europa.eu/publications/assessment-of-full-cost-recovery