中国の汚泥処理業界は今は導入期であるが、今後は高度成長期に入る見通しであると国内メディアが報じた。
「『十二五』全国城鎮汚水処理及び再生利用施設建設計画」によると、現在中国の汚水処理能力は1日当たり1億2476万トンであるが、2015年までに1日当たり1億7045万トンに上昇すると同時に、全国汚水処理設備の平均稼働率は84%に達する。従ってこれに伴い、2015年までに中国での汚泥発生量は1日当たり12.8万トン(そのうちの80%は水の重量)になり、汚泥処理の需要が高まると見られている。
しかしながら、現在の汚泥処理業界はまだ高度成長期に達していない。これは、技術が発達していないこと、また処理費用が高いことが原因となっている。このため、関連プロジェクトの進行状況は緩慢であり、業界自体はいまだ導入期にあるといえる。現状、「十二五」で計画された汚泥処理施設はわずか26.9%しか建設されておらず、しかもそのうちの大半は試験事業であり、うまく運営できない状態である。
従って、中国の汚泥処理業界の重要性は大きいが、その実行はまだ困難なことが多く、政策の実現は遅れると見られている。しかし、今後は関連する政策や技術などの改善に伴い、汚泥処理業界は高度成長期を迎え、その投資総額は500億元(約8000億円)を超える見通しである。
汚泥処理業界の発展を促進する三要素
中国の汚泥処理業界の発展を促進するためには3つの要素、即ち、政策の強化、技術の改善、汚水処理費用の引き上げがあるが、それぞれ以下の通りである。
- 政策面では、「汚泥より水処理を重視する」傾向を徐々に改善する。より完備な汚泥処理技術政策、ガイドライン、標準を策定する上で、汚泥処理の目標を明確にした。汚泥処理におけるエネルギー及び資源の回収や利用を奨励すると同時に、環境保護対策を強化する背景の下で汚泥処理に対する執法も徐々に強化する。
- 技術面では、嫌気性消化、好気発酵、汚泥乾燥焼却などの技術を中心とした汚泥処理技術は成熟しており、多くのプロジェクトで応用されている。それら技術によって汚泥処理を単なる廃棄物処理から資源利用へ転換し、プロジェクトの経済性を重視する。これにより今後は、現在用いられている埋め立てを中心とした汚泥処理方法が徐々に代替される。
- 汚水処理費用を引き上げることにより、業界の難題を根本的に解決できる。水標準を強化すると共に、水道料金を徐々に上昇させ、汚泥処理費用についても徐々に汚水処理費用に組み込み徴収される。それによって業界の利潤を上げることもでき、汚泥処理施設の整備強化、設備の利用率の向上も直接促進できる。