インド・ケララ州、日々増え続ける下水プラントの汚泥の処分策未だ見つからず

2013年9月22日に現地メディアが報じたところによると、インド・ケララ州のムッタターラ(Muttathara)にある下水処理プラントにおいて、1日に8トン近い汚泥の生成が始まり、その処分策に当局は頭を悩ませているという。問題となっている下水プラントは、同州で初のタイプとなる下水プラントであり、「ケララ持続可能な都市開発プロジェクト(KSUDP:Kerala sustainable urban development project)」*1、「ジャワハルラール・ネルー・国家都市再生ミッション*2(JNNRUM:Jawaharlal Nehru National Urban Renewal Mission)」、ケララ州水道局の共同プロジェクトによるものである。

当初の予定が狂い、行き先を失った汚泥

当初、この下水プラントから発生する汚泥はヴィラッピサーラ(Vilappilsala)ごみ処分場に搬送される計画であったが、政府がこのごみ処分場の閉鎖を決定して以降、汚泥が行き先を失った状況が続いている。当局であるケララ州水道局はまだその問題の解決法を見つけられていない。根本的な解決策が見つかるまでの一時的な解決策として、汚泥の一時保管場所として格納庫を建設して汚泥を肥料として利用する者が現れるのを待つこととする一方で、水道局はプラントの最終ユニットとして汚泥を乾燥させるクラリファイアー(清澄器)を稼働させるべく動き出しているという。

担当者は次のように話す。「この汚泥は乾燥させ、また肥料として運搬することができます。しかし、現在、連日汚泥が形成されていますが、これまでのところこの汚泥の引き取り手は現れていません。我々はこの汚泥の使用先について、これまで肥料化学公社(FACT:Fertilisers And Chemicals Travancore Ltd.)や州森林局、その他の機関にアプローチしてきました。しかし、下水プラントに隣接する飼料農場をもつ酪農局ですら、この汚泥を肥料として使用したがらないのです」

この汚泥の一時保管先として現在水道局が建設を予定している格納庫は、コンクリートの床と3面からのトラックの出入りが可能な開放口をもつものとなるという。

迫られる雨期対策

水道局職員によれば、当該下水プラントは現在、1日に2900万リットルの下水を処理しているのみである。「プラントの最大処理能力である4200万リットル/日の容量を処理するのは雨期の間だけです。理想的には汚泥の生成には約30日かかることとなっています。下水の量が少なかったためそれよりも長い時間かかりましたが、現在毎日8トン近い汚泥の生成が始まりました。生成された汚泥は今、乾燥床にて保管しており、18ある乾燥床のうち2つを占めています」と職員は話す。

しかしながら、乾燥床での汚泥の保管は雨期の間には現実的な策ではない。水道局が汚泥を乾燥させるクラリファイアーを稼働させることを計画しているのはそのためである。クラリファイアーは汚泥に含まれる水分を取り除くもので、その機能を果たすため1日に最低1kgのポリマーを必要とするという。KSUDP担当者は次のように話した。「我々は来週までにはクラリファイアーを稼働させられると見込んでいます。うまく動作することが確認できてからでなければ、その運用・維持管理を委託する会社に委託することは出来ません。委託先はノイダに拠点を置くUEM Groupであり、今後5年間にわたって当該プラントの維持管理を委託します」

*1 ケララ持続可能な都市開発プロジェクト:アジア開発銀行の支援を受けケララ州が主体として実施する都市開発プロジェクト。上下水道の整備、固形廃棄物の管理、道路整備など都市インフラ・サービスの整備を行う。*2 ジャワハルラール・ネルー・国家都市再生ミッション:廃棄物処理やバス高速交通システム、水道整備、下水整備などが含まれる官民パートナーシップ事業

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