中国国家海洋局(SOA)は、2013年12月23日、「2012年全国海水利用報告」(以下、本報告)を公表した。本報告は、2012年に新たに建設された海水淡水化による造水容量、関連する国際交流・協力、海水利用発展の歴史について振り返ったものである。
報告によると、2012年末までに全国において95の海水淡水化プロジェクトが展開され、造水容量は1日当たり77.4万トンに達成した。そのうち最大のプロジェクトは造水容量が1日当たり20万トンに達する。淡水化により得られる水は、沿岸地域の発電所、石油化学産業および鉄鋼産業などの水消費量の非常に多い分野、ならびに沿岸地域や島嶼での飲料水に利用されている。プロジェクトは、沿岸地域9省における都市および島嶼で進められており、主に天津市、河北省、浙江省、遼寧省、山東省などの水不足が深刻な地域に集中している。
図:各地域の海水淡水化による造水量(単位は万トン/日)
造られた淡水の最終利用は以下の2種類に分けられる。
1. 工業用水(例えば、首鋼京唐港、天津大港新泉海水淡水化プロジェクトなど)
2. 生活用水(例えば、海南西砂永興海水淡水化プロジェクトなど)
既に建設された海水淡水化プロジェクトのうち、工業用水、生活用水として用いられている淡水はそれぞれ1日当たり51.1万トン、26.3万トンであり、総造水量の66%と34%を占めている。
図:海水淡水化により造られた淡水の利用用途(単位は%)
現在、中国国内の海水淡水化は主に逆浸透膜法や低温多重効用法を採用しており、コストは造水1トン当たり6~8元(約102円~約136円)である。