米国カリフォルニア州の天然資源庁、環境保護庁、および食糧農業局は2014年1月27日、向こう5年間の水行政の目標とヴィジョンを示す「カリフォルニア州水行動計画」を公表した。この「行動計画」は、水供給の信頼性の向上、損傷・破壊された生態系の回復、および水インフラの耐久力の改善へ向けた州の取組の指針となるものである。
この「行動計画」について、同州のブラウン知事は2014年の施政方針演説でこう述べている。「無理な話に聞こえるかもしれないが、これこそ、この水不足の状況を切り抜け、次に備えるためにわれわれがしなければならないことだ」
ブラウン知事が提出した2014~2015年予算案は、この「行動計画」の遂行に必要な短期的行動のための強固な財政基盤として、水利用効率改善プロジェクト、湿地帯と水源域の回復、地下水プログラム、節水、治水対策、および総合的水管理のために6億1870万ドル(約631億3000万円)を投じるとしている。
乾燥気候対策に重点
「カリフォルニア州水行動計画」は、2013年10月に案が示され、それに修正が加えられて今回の最終版公表となった。修正のおもな内容は渇水対策と、貯水、水質、および生態系の観点からのシエラネヴァダ山脈の源流の管理改善に関する新たな取組などである。「行動計画」案へのパブリック・コメントで明らかになったのは、長引く乾燥気候が経済と生態系にもたらす悪影響をさらによく理解しなければならないということであった。ブラウン知事の予算案では、地域の総合水管理のために、プロポジション84(カリフォルニア州の「2006年の安全飲料水・水質と水供給・治水対策・河川および海岸保護公債法」の通称)による4億7250万ドル(約478億8000万円)の資金を、水資源局に割り当てるとしている。公債発行によるこの資金は、水需要の低減と供給能力の強化のほか、野生生物の生息域の管理や治水対策といったさまざまなプロジェクトへの州および連邦による投資を引き出すのに使われる。この予算ではまた、水とエネルギーの利用効率の改善、それに、乾燥気候における水供給と生態系の回復力を向上させるための湿地帯と海岸部流域の回復に、特に重点が置かれている。
ブラウン知事の予算案はまた、乾燥気候の年にはカリフォルニア州の水供給の3分の1以上をまかなっている地下水源のモニターを水資源局がさらに強化するための資金や、各地方の取組がうまくいかなかった場合に備えて州水資源管理委員会による持続可能な地下水管理のバックアップ態勢の構築を支援する資金などが含まれている。
「カリフォルニア州水行動計画」の主要項目
「カリフォルニア州水行動計画」は、主要な行動として以下の項目を挙げている。
節水をカリフォルニア州のライフスタイルにする。
- あらゆるレベルの行政機構において、自助努力による総合水管理能力の増強に努める。
- カリフォルニア・デルタに関して重要度の等しいふたつの目標――より信頼性の高い水供給を確保し、同時に、デルタの生態系を保護・回復・強化するという目標――を達成する。
- 重要な生態系を保護・回復する。
- 乾燥期における管理と、乾燥期への備えをする。
- 貯水量を増やし、地下水管理を改善する。
- すべてのコミュニティに安全な水を供給する。
- 治水対策を強化する。
- 運営と規制の効率を改善する。
- 持続可能な統合的資金調達方法を確立する。