アリゾナ州の水道担当部局は、早ければいまから25年後には同州が水危機に直面するとして、飲料水の新たな水源の調査をはじめる必要があると警告している。
アリゾナ州水資源局の最近の報告書*は、人口増にともない、2050年には同州で年間90万エーカーフィートの水が不足すると予測している。この不足量は2930億ガロンを超える。
* Arizona Department of Water Resources, “Arizona’s Next Century: A Strategic Vision for Water Supply Sustainability”
http://www.azwater.gov/AzDWR/Arizonas_Strategic_Vision/documents/ArizonaStrategicVisionforWaterResourcesSustainability.pdf
淡水化も視野に
対策として、州水資源局は報告書のなかでいくつかの選択肢を示しており、そのなかには淡水化プラントの建設も含まれている。
だが、これにはかなりの時間がかかる。この報告書によれば、海水淡水化プラントの設計と建設は20年がかりの仕事になることもある。また、費用の面も懸念されるが、これについては、技術の進歩によって淡水化コストは下がってきていると報告書は指摘している。
報告書はもうひとつのアイディアとして、塩分を含む地下のかん水の淡水化を挙げている。水政策を専門とするChristopher Scottアリゾナ大学教授によれば、地下水の塩分は海水よりも低く、淡水化に必要なエネルギーも海水ほどではないという。
資金面については、アリゾナ州議会下院のAndy Tobin議長が、水インフラのために当初3000万ドル(約31億円)の公債プログラムを組み、その額を数年間で1億ドル(約100億円)に増やすことを認める法案の成立を望むと言明し、つぎのように述べている「州議会は淡水化についての議論をいまからはじめて、州民がそのコストをはっきり理解できるようにしたほうがよい」
州知事と水資源局の見解
州水資源局の上記の報告書の作成は、ジャン・ブリュワー知事が命じたものだ。同知事の広報官、Andrew Wilderは、現時点で知事がある特定のソリューションを支持していることはないとし、つぎのように述べている。「知事は、危機がきてからあわてて行動するのではなく、いまから対話をはじめたいと考えている。また、今回の報告書はソリューションのメニューを示したものであり、そのなかには、地域で実行できるものもあれば、全州規模のものも、さらには、その両方を組み合わせたものもある」
アリゾナ州水資源局のMichael Lacey局長は、危機がくる前に自治体の首長や産業界のリーダーが力を合わせて計画を実行する時間的余裕はまだあるとして、つぎのように述べている。「これはまさに、州の運命にかかわる問題だ。すなわち、いま手に入る水資源だけでよしとするのか、それとも、州が成長をつづけられるように新たな水供給の方策をさぐる道を選ぶのかの問題だ」