2014年4月11日に報じられたところによると、フランスの水・廃棄物処理大手Suez Environnement(以下、Suez)は金鉱から出る廃棄物の処理を専門とするMining and Industrial Labour Survices社(本社:西オーストラリア州カルガリー、以下MAILS)の買収について合意したことを発表し、併せて今後、特に石油・ガス産業の廃水処理分野において自力での成長に加えて、小~中規模の買収を組み合わせることで成長を図っていくとの方針を明らかにした。MAILS社買収の財務面については明らかにしなかった。
収縮傾向の地方自治体から民間市場へシフト、Veoliaの路線を追随
Suezに4人いる副社長の1人であり、国際事業の責任者であるMarie-Ange Debon氏は記者会見で、同社は技術的な専門的知見や地理的な勢力を完成に近づけるための買収のチャンスを探していたと述べた。Suezは現在、同じフランスの同業他社Veoliaのように産業界の顧客向け事業を伸ばそうとしている。これは、従来の地方自治体の顧客から上がる収益が縮小していることを受けた動きである。
一方、Veoliaは4月7日の週に、鉱業・金属産業における廃水処理から上がる収益は2020年までに倍増し、15億ユーロ(約2130億円)に達するとの見込みを示している。Debon氏は、Suezがごく最近参入した石油・ガス産業の廃水処理分野は、今後同社にとって重点領域になるとの考えを明かした上で次のように語った。「我々は石油・ガス産業の上流部門で大きな成功を収めてきています。我々はこの事業をさらに伸ばしていきます」
2014年には4分野を中心に、5億ユーロ規模で企業買収を計画
Suezの2014年の企業買収に充てられた予算は約5億ユーロ(約709億円)である。同社ではこの額を次の4分野に集中的に投じるという。
- 工業用水
- 廃棄物中の原料・エネルギーの回収
- ブラジル、インド、東欧、地中海沿岸地域などの国・地域での成長
- 地方自治体および民間の顧客向け「水のスマートメーター」の開発
工業用水、石油・ガス上流分野、鉱業の市場拡大を見込む
Suezでは、世界の工業用水市場は2014年のおよそ150億ドルから2018年には210億ドルと、平均年9%で成長するとの予測を示している。また、石油・ガス産業上流部門と鉱業はそれぞれ15%、12%の成長を見込んでいる。2013年のSuezの売上総額146億ユーロ(約2兆円)のうち、工業用水分野の売上は5億7000万ユーロ(約808億円)であった。同社は工業分野での水の使用量は2030年までに80%を超える成長を遂げると予測している。
Debon氏はさらに、新興国における規制の強化・新規適用を受けて、こられの国における同社の廃棄物・廃水処理事業が成長してことを明らかにした。Debon氏はこの一例として、中国にある同社の有害廃棄物用焼却炉は2、3年前には完全に稼働することはなかったが、当局が不法投棄を厳しく取り締まるようになった現在ではフル稼働していることを挙げた。